帰省後半(2019年パート)

 2019年の朝を迎える。大晦日に行きそびれた鎌倉を、替わりに今日にすれば、鶴岡八幡宮で初詣もでき、観光とそれで一挙両得なのではないかという腹案があったが、ウェブで情報を探ったところ、元日の鶴岡八幡宮なんて幼児を連れて参拝できるレベルじゃないっぽいぞ、と察知して取り止めた。鶴岡八幡宮に行かなくても鎌倉の街だけ行ければそれでいいのではないかとも思ったが、横須賀線からして混みそうな予感もあり、諦めた。
 それでお雑煮や、「おせちというわけではないがおせち的なおかず」の朝食を済ませたあとは、姉一家から返却されてきたポルガも含めた我が家4人と、祖母と母とで、近所の小さな神社に歩いて初詣に行った。好天で気持ちのよい散歩となった。神社は住宅街の中にあり、神主がいて祈祷の間があるような、そういう神社でなく、社と、普段は無人だろう社務所に今日だけはバイトの巫女さんがいる、という感じの所なのだが、それでもずいぶんな行列ができていた。並び始めて参拝するまで30分ほどかかり、ポルガは文句たらたらだった。この神社でこれだとすれば、今日の鶴岡八幡宮に行っていたらどんなことになっていただろう、と思った。参拝のあと、おみくじ。子どもたちにそれぞれ引かせ、ポルガが末吉、ピイガが小吉という、なんとも慎ましやかな結果だった。「貞節を持っておとなしめに過せ」みたいな、ふたりには厳しそうな忠告がつらつらと記されていた。
 それから帰り道にあった公園に立ち寄り、しばし子どもたちを遊ばせる。好都合にも鉄棒のある公園だったので、ピイガの鉄棒に興じるさまを、こちらのババア共に見せてやることができてよかった。「本当にすごい」と驚嘆していた。
 帰宅して、昼ごはんを食べたら、もう2時くらいになっていた。鎌倉に行かない分、せめて港北ニュータウンのショッピングセンターくらいには繰り出そうかと思っていたが、なんだかもうそれさえ億劫になり、家のきわめて近くにあるブックオフの初売りセールにファルマンとふたりで行ったほかは、結局どこにも行かなかった。というわけで、この3泊4日は、本当にずっと家の界隈で過したのだった。ここまでどこにも繰り出さなかった帰省は初めてだと思う。もったいない、とも思うが、子どもを連れて横浜だの渋谷だのに出るって、相当な動機がなければなかなか難しい。
 晩ごはんは手巻き寿司。芸能人格付けチェックなどをワハハと眺めながら、美味しく食べる。なんとも平和な正月なことだ。
 初夢は、もうあんまり覚えていないのだけど、評判の温泉があるというので、けっこうな険しい道を抜けて言われた場所に行ったら、源泉の勢いが弱まっているのか、地面を湿らす程度にしか湯が出ていなくて、しょぼくれた気持ちになる、というものだった。く、暗い……。
 翌日は10時前に新横浜を出発する新幹線だったので、朝ごはんを食べたらすぐに出発するような感じ。これをゆとりを持とうとして午後にすると、午前の間ただダレて過すはめになるというのは経験則として知っているので、少々せわしないがその時刻にしたのだった。次に来るのは夏か。あるいは10連休とも言われるGWか。
 こちらの自宅に舞い戻ったのは13時半ごろ。そうなのだ、移動が明るいうちに終わるというのも、早い時刻の出発のいいところなのだ。暗い中での移動は、やっぱり精神的に来る部分がある。そしてこの時期、向うを昼過ぎに出たら、こちらに着く頃には暗くなるので、それを回避するためにはあの時間に出るしかない。
 そしてこの作戦をとると、こちらで「午後」がきちんと取れるのもいい。帰宅してひと息ついたあとは、ブックオフやスーパー、そして2日後に迫るピイガの誕生日祝いのための物品を買いに、車で出かけた。横浜でも少しだけ車を運転したが、ブックオフの駐車場に停めるときなど、なかなかに緊張した。それに対して自分の車はさすがに運転しやすかった。買い物は首尾よく終わり、夕飯を作る気概はもちろんなかったので、かつ丼を買って帰った。実家では、正月ということもあり魚介類が多かったので、肉と飯の感じに渇望していた。かつ丼は普段から好きだけど、これは特に美味しく感じ、くらくらするほどだった。