連休は最後のほうにはもう心底うんざり気味で、平日の、朝の決まった時間に起きて仕事をして帰りにプールに寄る生活がひどく恋しかったため、五月病などという言葉はまるで頭に浮かばなかった。平日は尊い。そして平日をこなしてからの休日も尊い。必要以上に長い休みでそのことを再認識した。
そんな気持ちで迎えた週末は、GW期間中のことが本当に悪い夢であったような好天で、最高気温が25℃と30℃の間という、5月のとてもいいそれを堪能した。
土曜日は海へ行った。もちろん瀬戸内海である。海開きはまだ先だが、波打ち際で足を浸すには適当な暖かさで、当然まだ人もそれほどいるわけでもなく、居心地がよかった。時期もあるのかもしれないが、海は小川のように透明でとてもきれいだった。マクドナルドを買っていったので、砂浜にシートを敷いて簡易テーブルを設置して食べた。美味しかった。キャンプはもうこりごりだが、あちこちの場所で簡易テーブルを設置して昼ごはんを食べるという行為は、これからも続けていきたい。実際、途轍もない労力を要するキャンプを、丹念に精製したら残るのはこの部分だと思う。だから我々一家は、この部分だけでいい。ほかの雑味はノーサンキューだ。今回は足を浸すだけだったが、夏には島根でまた海水浴をしたいと思っている。その意欲が掻き立てられた。
今日はプールとショッピングをした。
プールは僕が月間会員になっているいつもの所ではなく、初めて行く別の市営プールに行ってみた。なぜわざわざ別の所へ行ったかと言えば、そのあと行くショッピングモールへの繋がりがよかったのと、あとここには50メートルプールがあるからだ。普段の所は25メートルなので、50メートルプールとはどんな感じなのか、興味があった。50メートルプールは、横浜国際プールがオープンした頃、中学校の友達と行ったことがあるので、未経験ではないはずなのだが、そのときは水泳という感じで行ったわけではなかったため、大した感慨は持たなかったのだろうと思う。それから20年あまり(!)の時を経て、ありがたみを噛み締めながら赴いた。プールでは、ファルマンと子どもたちには子ども用のものへ行ってもらい、僕だけしばし50メートルのほうで泳がせてもらう。入水して感動した。50メートルプールのスケール、すごい。深さも25メートルのそれより深いので、体積が段違いなのだ。その中に入って泳いでいると、25メートルプールではついぞ感じない、俺はいま圧倒的で静謐な水の中にひとり浮かんで進んでいるのだ感が湧き立ち、ぞわぞわするほどの快感があった。いつもなら10往復を要する500メートルを5往復で済ませ、大満足した。明日からのいつものプールが色褪せそうで不安だ。またたまにこっちのプールにも泳ぎに来ようと思う。
そのあとでショッピングモールへ。プール後のショッピングモールってなんかすごいな。とても活動的な一家のようだな。買ったものは、僕のズボン、ファルマンのパーカー、ポルガの学校用の靴、ピイガの靴。そういう制度でもあるのか、というくらいにひとり1点の品物をきちんと買った。それとピイガのランドセルを物色するのも目的のひとつだったので、展開されているコーナーでいくつか背負ってみたりした。その結果、ポルガはとにかく原色のイメージだったのに対し、ピイガは淡い色がよさそうだと判った。ピンクとか、えんじとか、そのあたりかな。薄むらさきも似合ったが、どうも薄むらさきはなあ、という思いが僕にもファルマンにもある。どちらにせよいまだ身長が100センチに満たないピイガには、どのランドセルも冗談のように大きかった。
帰宅して、午後はほんの少しミシンをする。子どもの紅白帽の紐を新しくしたり、僕のパジャマのゴムを替えたり。こういうのってするまではすごく億劫なのだが、いざし始めると、なにをあんなに億劫がっていたのか、というくらいにすぐに作業が終わる。パジャマのズボンのゴムは完全に伸びきって、歩けばすぐにずり落ちるという、まいっちんぐマチコ先生みたいにセクシーな有様だったので、直ってよかった。
晩ごはんは、母の日ということでファルマンにリクエストを訊ねたら、いつもの「カレー」というバカな子の答えだったので、カレーにした。珍しい具材のカレーにしようかとも少し考えたが、結局はとてもオーソドックスなビーフカレーになった。美味しかった。