カラオケと餌やり

 3連休の最終日、カラオケに行く。前回が10月中旬だったので、ずいぶんと行ったばかりだ。正直あまり準備が整っていなかった。しかし3連休を持て余し気味だったので、まあ他になにをしたいってこともないし行くか、という感じで行った。
 準備というのは、唄う曲を日常の中でピックアップしておくことを指す。そしてそれを何度か聴いて、覚えたりする行為である。それをぜんぜん十全にせず行ったのだった。
 そんな状態で、唄ったのは以下の通りである。
 1曲目、MAX「Give me a Shake」。どうしたって1曲目はMAX。これは僕のカラオケのお約束のギャグである。そして相変わらず浅い選曲。本当はコアなファンしか知らない、オリジナルアルバムのあの曲を唄おうかとも思ったのだけど、今日のところはこれにしておいた。相変わらずサビしかちゃんと唄えなかった。
 2曲目、弘田三枝子「人形の家」。熱唱系。1曲目と違って唄いやすかった。やっぱりこのあたりの歌謡曲がいいわー。唄いやすいわー。
 3曲目、皆川おさむ「黒猫のタンゴ」。今回ももちろんマイクスタンドを持ち込んで唄ったのだが、スタンドマイクがあるとやけに行儀よく直立して唄う子どもたちの姿を見て、ポルガが「黒猫のタンゴ」を唄ったら似合うだろうなあと前回から思っていて、それをいつか実現させるために今回まずは自分で唄った。愉しかった。子どもたちはとても冷めた反応だった。
 4曲目、研ナオコ「ひとりぽっちで躍らせて」。これもよかった。研ナオコ、「あばよ」もいいがこれもいい。スナックで唄うような歌が結局いいのかもしれない。
 5曲目、BEGIN「島人ぬ宝」。首里城全焼を受けての時事歌唱なのだが、考えてみたら1曲目のMAXの時点で沖縄だった。まあこっちのほうが「沖縄感」が横溢しているのでふさわしいと思う。
 6曲目、上高田少年合唱団「鉄腕アトム」。手塚治虫アニメソングアルバムというのを以前に聴いて、なぜか「ジェッターマルス」のほうに傾倒し、そちらを先に何度か唄ったが、ここへ来てようやく本家を唄った。けっこう気持ちよかった。昔の勧善懲悪アニメのテーマソングの明るさって、どこかに切なさがあっていい。まだ傷跡生々しい戦争の影がチラつくからだろうか。
 7曲目、スマイレージ「夢見る15歳」。なんとなくたまにハロプロを唄う。やっぱりつんくの作るアイドル曲って、阿久悠好きに訴求する部分があるのだと思う。
 8曲目、荒井由実「ひこうき雲」。これも唄って気持ちがよかった。カラオケビデオが、とても素直に歌の内容に沿った、世界の中心で愛を叫ぶみたいなストーリーで愉快だった。たまに「この歌専用だろ」みたいな映像が来るとびっくりする。
 9曲目、今田裕子「私はマチコ」。「まいっちんぐマチコ先生」は、漫画やアニメそのものには触れていないのだけど、内容だけは知っていて、そのストーリーと言うか、話の構造には、とても感じ入る部分がある。セクシーなマチコ先生に、男子生徒や男性教諭がひたすら性的なイタズラをするという、本当にただそれだけなのだ。それがとてもすばらしいと思う。強さのインフレとか、難病とか、大事件とか、たぶん一切ない。ただ性的なイタズラ。なんて優しい世界だろうかと思う。
 10曲目、米米CLUB「君がいるだけで」。これはなんとなく唄ったとしか言いようがない。唄いながら、どうしたってくっきーのネタのことを思い出した。
 そんな10曲。急ごしらえのわりにはまあまあ揃えられたんじゃないかと思う。ファルマンがリモコンの「おかあさんといっしょ」のページから、テレビの映像がそのまま流れる曲という特集を見つけ、ポルガが2歳ごろ、島根に住み、わが家がいちばん「おかあさんといっしょ」を観ていた時代の、横山だいすけ、三谷たくみコンビの曲を次々に入力し、それらがいちいち感動するほど懐かしかった。だいすけおにいさんはたまに民放で目にするので慣れていて、スイッチにはならないのだけど、たくみおねえさんの姿は猛烈に当時の記憶を蘇らせる効果があるようだ。ちなみに先日、平日だけど仕事が休みという日に、ピイガの観ていた「おかあさんといっしょ」を後ろから眺めたのだけど、知ってはいたが歌と体操の4人すべてが新しい人に入れ替わっていて、パラレルワールドに来たような気持ちになった。新しい4人、あくがなさ過ぎて嘘みたいで知覚できない。
 そんなカラオケのあとは、公園に立ち寄って少し遊び、家から作ってきたおにぎりを食べたりした。遊具で遊ぶのは別にしてもしなくてもよかったのだが、食パンの賞味期限が切れたものが3枚も出てしまい、捨てるにしのびなかったので、池の生きものにやろうと思い立ち、それが公園に来た主目的だった。なのでやった。夏が終わり、水鳥ももう飛来してきていて、パンを水面に投げると、わらわらと寄ってきた。続けて魚や、ハトや、亀もやってきて、愉快な気持ちになった。ピイガが、生きものが遠くにいる間は「ヘイヘイヘーイ! 来いよ来いよ!」みたいな感じなのに、実際にハトなどが近寄ってくると「こわい……」となるのが漫画みたいでおもしろかった。