ファルマン生誕祭

 ファルマンが誕生日を迎える。
 当日は月曜日なので、前日の昨日、日曜日にお祝いをした。特別なことをしたわけではないが、4人でちょっと豪華な晩ごはんを食べ、そして手作りのケーキを食べるという、平和でしあわせな時間を過した。なによりだと思う。
 かくしてファルマンは、40歳になった。
 40歳。


 40歳である。
 去年が39歳だったのだから、別に予測不能の展開でも、どんでん返しでも、なんでもないのだが、それでも40歳というのは破壊力がある。来ることは分かっていて、そのために身構えていても、いざ襲来されると、そのパワーはこちらの予想をはるかに上回っている。そんな感じがある。ヒットくんたちは無邪気に、人文字ならぬヒット文字で「40」を描き出しているけれど、なぜか端っこにいるファルマンは、ひとりだけ髪を黒く塗ってもらえていない。そのあたりに、40歳以上と40歳未満の、あまりにも深い溝が見て取れる。
 僕がファルマンと付き合い始めたとき、ファルマンは20歳だった。それが40歳。人を、40歳以上と40歳未満で区分けした場合、僕はまだ、かの日の自分たちと同じ括りの中にいるけれど、ファルマンはそうではない。ファルマンはもう、先の階梯に進んでしまった。
 10年にいちどの、「代」が異なる5ヶ月半が始まり、とても嬉しい。30代の僕は、40代の姉さん女房を、この五ヶ月半の間、味がしなくなるまでいじり続けようと思う。そしてその喜びを掻き立てるかのように、ディズニーランドも40周年の特別イベントのことをCMでやり始めている。開園日である4月15日から開始だそうだ。つまり、もうこれを何度言ったか知れないけれど、ファルマンが生まれた時点では、日本にディズニーランドはなかった。ついでに言えば、1983年7月15日に発売されたファミコンも、まだなかった。じゃあ当時、娯楽はなにがあったんだろう。メンコとか、ゴム紐とか、缶詰に紐を通してカッポカッポするやつとかだろうか。そんな、物質的には貧しかったけれど、それでも戦後の経済成長の途上にあり、日本人が元気だった時代を生き抜いて、今のファルマンがある。時代の生き証人として、これからも元気で居続けてほしい。
 どんなにいじっても、まだいじり足りない気がする。自分より早く生まれた妻とかけて、ちんこととく。そのこころは、どんなにいじっても、まだいじり足りない気がするでしょう。5ヶ月半後に自分が40代になる頃には、あまりにもいじり過ぎた結果、さすがに40代いじりは賢者タイムになっていたらいいなと思う。僕はいじられたくない。