晴れと雨の土日

 土曜日は晴れで、日曜日は天気が崩れるっぽかったので、今日のうちにと公園に繰り出す。ポルガが冬の間、行きたい行きたいと言い募っていた大規模公園。日中の最高気温も15度を超えるようになり、ようやく公園シーズンが到来した。おにぎりは作っていかず、途中でマクドナルドに寄る。ハッピーセットのおもちゃがドラえもんの映画のものになったので、今日はそれを買って公園で食べるという算段なのだった。おもちゃは4種類ということで、大人もハッピーセットにして、4つ注文した。おもちゃは選べないということだったが、袋の手触りで判別は簡単にできそうで、オペレーターの人が気を利かせてくれたのか、4種ちがうものが付いていた。この世は優しさに満ちているな。公園には桃の花がたくさん咲いていた。おととしだったか、花見の時期にこの公園に、規模はどうあれちょっとくらい桜咲いてるやろ、咲いてないってことはないやろ、と当て込んで行ったところ、ほぼ咲いてないくらいの桜の木しかなかったということがあったが、そうか、ここの公園は桃の花だったのか、と思った。公園はそれなりに賑わっていた。「春の陽気に誘われて」という慣用表現を使うほかない、3月の週末なのだった。園内に入るなり駆け出して消え去ったポルガ(妹の面倒を見るという発想は一切ない)をひとしきり遊ばせている間に、広場の片隅にレジャーシートを敷き、簡易テーブルを設置する。テントって重くて、しまうのも大変で、心の底から買ってよかったと思ったことがこれまでいちどもないのだが、簡易テーブルは買ってよかった。公園での食事がすごく快適になる。準備を整えたところで、大型遊具の中に溶けているポルガを見つけ出し、回収する。そしてハッピーセットを食べた。春先の公園でのハッピーセットは、文字どおりなかなかのハッピー感があった。そのあとボール遊びなどもして、公園を堪能した。いい季節になったことだ。
 帰りにショッピングセンターに立ち寄って、こまごましたものを買う。子どもの肌着を買うために入店した衣料品店で、とてもいい具合のバッグを見つけ、買ってしまう。これまで会社へはリュックサックで行っていて、その前はベジバッグと言われるトートバッグを使っていた。思い返せば僕はリュックとトートを1年周期くらいで「やっぱりこっちのほうがいいな」と思い直して替えるということを繰り返しているのだった。というわけで今回はトート。形はベジバッグだが、これまで持っていたものよりも大きい。これまでのはちゃんとした値段の、正規のベジバッグと言うか、白の硬い帆布生地のものだったのだけど、新しく買ったのは帆布というほどではない厚手の綿で、色はモスグリーン。これまでのものにはなかった、ショルダーとしても使える紐も付いていて(トートよりも肩掛けが好きなのでこれはとても嬉しい)、そして異様に安かった。とてもいい出会いをした。帰宅してリュックから中身を移し替えたら、とてもスペースに余裕があった。と言うか本当にでかい。これまでのリュックも、「1泊旅行にも十分な容量」という触れ込みだったのに、そこへそれなりにぎっしりと入れていた荷物が悠々と入った。こうなるとまた内容物が増えていくのだろう。まるでヤドカリのようだ。毎日の10時間程度の外出で、いったいなにがそんなに必要なのか、自分でもよく分からないが、まあ世の中には荷物が極端に少ない人と極端に多い人がいて、僕は後者だということである。
 3時のおやつを食べたあと、アグレッシブにプールへと繰り出す。「午前中に公園で陽を浴びたのにプールに行くの? 行けるの?」とファルマンに驚かれる。これまでの僕なら、公園行って帰ってビール飲んで昼寝というのがお決まりのパターンだったろう。それを今はそこからさらにプールだ。参ったかこの野郎。
 晩ごはんは、ホットプレートを出して焼肉というわけではないが、焼き肉用のカルビ肉をフライパンで焼いて野菜とともに皿に持って出した。たしかにこういう肉らしい肉が食べたい気分だった、とファルマンに同調された。
 日曜日の今日は予報どおりの雨だったので遠出はせず、「スタートゥインクルプリキュア」を観たあとは、午前中に近所のスーパーへ必要なものだけを買いに出た。ピイガが昨日からくしゃみを連発するようになり、公園では「まさか花粉症かねえ」などと話していたのだが、帰宅後も続き、雨の今日も続くので、これはどうやら風邪らしいとなり、やわらかいティッシュを買った。やわらかいティッシュは、あえて選んだわけではなかったが、「ピンクローションティッシュ」という商品で、抜き出してみたら紙もピンク色をしていた。中学生ならこのティッシュだけでオナニーできるんじゃないか、というティッシュなのだった。それで僕の娘は鼻をかんでいる。いや、正しいんだけど。
 それからは家でのんびりと過した。晩ごはんは、昨日から一転で気温も下がったので、ここは鍋ラーメンだな、とおそらく今シーズン最後の鍋ラーメンをした。体を暖めるための味噌味。おいしく食べた。そして酒は飲まない。3月に入ってから一滴も飲んでない、と言えれば話が簡潔なのだけど、1日のとんかつの際にちょっと飲んでしまっていて、しかしそれ以降は本当に飲んでいない。鍋ラーメンの今晩においてさえもだ。自分でもびっくりする。なににびっくりするって、飲まなければ飲まないで別に大丈夫な自分にだ。思えば20歳のときのタバコも、やめることにしようと思い立ったら、それ以降は別にぜんぜん苦しむことなくやめられた。もしかしたら僕は、本当になにかを心の底から欲してなんかいない、心の底がとても冷めきった人間なのかもしれない。かもしれないと言うか、実際そうなんだと思う。プライドは高いので、なにか一言では言い表せられない巨大なものに執着している感じはするのだが、対外的なものへの依存心は、いい意味でも悪い意味でもなく、とにかく著しく持っていないな、と思う。休肝月を実際に始める前から予感していたが、たぶんこの経験を通して、休肝月終了後も、僕とアルコールにはだいぶ距離が生まれるだろうと思っている。あるいはこの一文はネタフリかもしれないとも思う。