図書館本の未返却の顛末
先日、図書館の返却ポストに入れた本のうち、1冊だけ返却済みにならないものがあって、貸出データを見て返さなければならない本を家中から集めて返しているので、返したはずなんだけどなあと思いつつ、家のどこを探してもないし、車を隅々まで探しても見つからない。でもやっぱり絶対に返してるはずだ、たぶんあっちのミスで、返却処理をしないまま棚に並んでるのだ、と考えて開館日に行って棚を見たのだがやはりない。こうなるともう考えられるのは、車から本を持ち出すときに道に落としたくらいのパターンしかなく、夜だったし、しかも装丁が黒い本だったので、そんなこともあるかもしれない、しかし図書館の前に車で乗りつけて返却を行なったわけで、そのあたりに図書館の本が落ちていたらば親切な人間が拾ってポストに入れてくれたっていいじゃないか、などと思った。とは言え紛失は紛失だ。いよいよ弁償か、と思った。いよいよ、というのは、これまで家族の分も含めると、たぶん何千冊も図書館の本を借りてきたが、延滞こそすれ、紛失したことはいちどもなかったからだ。折りしもDeNAベイスターズのロペス内野手が、プロ野球記録である一塁手連続守備機会無失策を1632でストップさせたタイミングであり、僕の無紛失記録もここで途絶えるのだなと思った。それでカウンターへ行って、「家をすごく探したけどこの本がどうにも見つからない」ということを訴えた。すると職員は、「まあもうちょっと探してみてください。1ヶ月くらいは皆さんに探してもらってるので」とのことで、猶予が与えらえた。とは言え猶予を与えられたところで探す所はもう探しちゃったしなあ、と思っていた矢先、ウェブで利用確認ページを開いたら、当該の本の貸出しが消えていた。来たよ、と思った。なんとなく怪しいと思っていたのだ。だってたしかにデータを確認して本を取り揃えて返却ポストに入れたんだもの。そしてその夜の返却ポスト内は、その日が休館日だったこともあり、けっこう本がムチムチに詰まっていたのだ。だからその本は返却ポストの中の、本を受け止めるカゴからはみ出て、返却ポスト部屋のどこか見えにくい場所へと紛れてしまっていたのだと思う。それが数日の時を経て、ようやくシフトが回ってきた視野の広い職員によってピックアップされたのだ。絶対にそういうことだ。それ見たことか、と思う。なにが「もうちょっと探せ」だ。ブーメランだ。探さなければならないのはあなたたちだったではないか。ああ悔しい。ファルマンとふたりで重たいベッドのマットを持ち上げたりもしたので、もう既に家になかった本を探すために、こちらはすごい労力を費やしたのだ。まるっきり無駄の。悔しい。そして図書館側は、開館前の朝、返却ポスト部屋にて見つけたその本を、決してそんなふうには認識せず、ただ前夜のうちに返されたのだなとしか思っていないに違いないところが悔しい。