昨日から休みに入っている。1月4日までなので、ちょうど1週間ということになる。1週間か、まあそんなもんか、と平然と受け止めている自分がいて、その一方で、社会人になって何度かあった、サービス業だったためにGWにもお盆にも年末年始にもろくな連休がなかった怨みではらわたが煮えくり返っている自分もまた、まだ自分の中にはちゃんといる(なるほど怨みというものは人間の感情の中で最も風化しづらいものなのかもしれない)ので、1週間という休みをそう受け止めた自分に対し、強い怒りを覚える部分もある。精神が分裂し、当時の僕が実体化したら、その僕は今の僕の頬を力の限りにぶっ叩くと思う。叩かれた頬の痛みも、叩いた手の痛みも、どちらも僕の痛みだ。1週間の休みは当たり前のものではぜんぜんない。そのことをゆめゆめ忘れず、これからも生きていこうと思う。これが人生経験を積んだことによる含蓄というものか。
連休初日の昨日は、午前中はひとりで買い出しに出た。残り3日間の献立をシミュレーションし、必要なものを買い込んだ。去年はこの買い出しの際、もう少し食費の財布に余裕があって、「買おうかどうか迷ったものは買う」のスタンスで、カート山盛りに食材を購った覚えがあるが、今年はそこまでの気兼ねのない買い出しはできなかった。物価は1年前に較べて本当に高まった。それでもなんとか算段をつけ、正月の餅も含め、買い揃えた。物価高は本当に嫌になるが、それでも一応は暮しは成り立っているのだから、よしとするべきだろう。
午後は、同じく今日から旦那が休みに入った兵庫の次女一家が、朝に向こうを出発し、昼過ぎにこちらに到着したというので、子どもを連れて顔を出した。夏以来の再会。4月末日生まれの姪2は、生後8ヶ月となり、夏は寝そべっているだけのものだったのが、たどたどしく、すぐにバランスを崩しがちだったが、座ることができるようになっていた。よいなあ。8ヶ月の赤ん坊、細い目でずっと見ていられる。あとピイガより8ヶ月ほどあとに生まれ、学年がひとつ違う姪1は、コミュニケーション能力が低いのは相変わらずだったが、ピイガより少しだけ背が高くなっていた。抜かされたかー。これはもう、たぶん生涯そうだろうな。向こうの父親の身長は、訊ねたことはないが、まあ170は余裕でありそうだ。
晩ごはんはベーコンときのことほうれん草のパスタと、グリルチキン。ミートソースとかカルボナーラではない、油で炒めた感じのパスタが食べたい気分だった。ビールが進んだ。食費のやりくりのつましさを語った舌の根も乾かぬうちに言うのも何だが、クリスマスからこっち、買い物のたびにアルコール類をせっせと仕入れ、年末年始の連休にアルコールが足りなくて困るということがないよう対策しているのだった。なにぶん年末年始のアルコールというのはね、1年でいちばん許されるアルコールですからね。後悔のないよう存分に摂取するべきだと思いますよ。ええ。夜もテレビを眺めながら、こちらは今日ようやく年内の仕事が納まったファルマンと、のんびりたっぷり飲んだ。12月は健康診断に備えて酒を控えたため、こうした晩酌もほとんど催さなかったのだが、そうするとやっぱりどうも日々が味気ないように思え、下戸の人はそれはそれで100%の有意義な人生であろうが、なにぶんほら、酒飲みというのはアルコールで脳が委縮しているがゆえに、もうアルコールなしでは十全に味わえないようになってしまっているので、満たされないものを感じていた。その意趣返しと、年末年始の発散が相俟って、もうどうしたって酒は必要不可欠なのだった。
明けて今日は、かねてより年末年始の連休にでも行ければいいね、と話していた、アイススケートに繰り出す。ゴビウスやグリーンパークのすぐそば、すなわち宍道湖のほとりにある、湖遊館というスケートリンクの施設である。去年から行こうという話は出ていたのだが、なんだかんだで機を逃し、このたびもだいぶ、行きたいとは思ってたけどいざ実際に行くとなったら途端に億劫だぜ状態に陥ったのだが、それでもなんとか気力を奮い立たせて行った。アイススケートは、2015年年末の帰省(岡山在住時代のこの年は、なんと年末に横浜、年始に島根というダブル帰省を行なった年である)の際のこどもの国以来、7年ぶり。7年ぶりなので、子どもたちにとっては実質初体験のようなものだ。ままならない未体験の行為に対するアプローチが、それぞれキャラクターが立っていておもしろかった。靴を履いて誰よりも先にリンクに足を踏み入れたのはピイガで、その場で見事に転倒した。世の中、テレビで観るアイススケートは、フィギュアにせよスピード競技にせよ、とてもうまく滑れる人ばかりが映し出されるので、滑るのが難しいというイメージがピイガの中にまるでなかったらしかった。そして最初の派手な転倒によって自らの誤解を悟る、ということもなく、ピイガはいつまでも自信満々に進み続け、そして転び続けた。自信がすごすぎて、現実でぜんぜんうまく滑れていないことなど、ピイガの中では些末事のようだった。すごい現象だな。一方でポルガは慎重派で、壁の手すりに掴まりながら、そろりそろりと足を進めていた。やがてだんだんとコツが分かってきたのか、壁から手を離す場面も増えたのだが、しかしそのコツというのはあくまでポルガの中のコツであって、その滑り方は、右足は固定したまま左足だけを動かすという異様なもので、前傾することなくすらりと伸ばされた上半身は終始不動で、トレーニング器具のスカイウォークのようだった。自分以外の人間のやっている様を完全に見ずに、独力で独自の方法を編み出し飄飄としている感じが、実にポルガらしいと思った。斯様にタイプは違うが、しかしふたりに共通しているのは、絶対に自分が正しいと確信していることだ。こいつらの自己肯定感の鋼っぷりは、一体どうしたことなのかと、今日のアイススケートに取り組むさまを見て、改めて不思議に思った。ファルマンと僕は、7年前と同じく、そこそこ滑れた。アイススケートは、いちど滑れるようになると、ずっと滑れるのだな。しかし明日はふたりとも筋肉痛だろう。ヒラメ筋のあたりが特にやばい気がする。
晩ごはんは唐揚げをメインに、フライド長芋、マカロニサラダ、白菜のクリーム煮という献立。マカロニサラダは明日の大みそかにもダラダラ食べられるよう、たっぷりと作った。スポーツレジャーをした日の、揚げ物とビールが、陶酔するほどおいしかった。それにしてもクリスマスあたりから脂質がとんでもないことになっている気がする。そこへさらに、正月になれば餅が加わってくる。いやはや年末年始はかくもおそろしい。
今年の日記はこれが最後だろうか。明日も書けたら書くが、最後になる可能性も十分ある。日中、妻子はまた実家に行くというので、ひとりで作業をしたり筋トレをしたり日記を書いたりしたい気もする一方、1年前と同じくおろち湯ったり館に繰り出しちゃう? という誘惑もあったりする。まあいいようにしよう。せいぜい愉しく有意義に過しますよ。明日も、来年以降も。