それでもどこにも行かなかったかと言えば実はそんなことはなくて、初日の土曜日は松江に繰り出し、この日と翌日の2日間、くにびきメッセで行なわれた「みらいキッズラボ」というイベントに参加した。子ども向けの企業博みたいなもので、2年前に出雲ドームで行なわれた同じようなイベントにも行ったが、それをふた回りくらい大きくしたような感じだった。ふた回りくらい大きいという印象がどのあたりに起因するのかと言えば、10時開始のところ9時50分くらいに会場に到着したら、オープニングセレモニーが執り行なわれていて、そこには松江市長と島根県知事がいたという、そのあたりだ。支持者でもなんでもないが、県知事って、見るとちょっと「おっ」となると思う。セレモニーが終わるとゲートが開放され、並んでいた人たちが順番に、ブースが立ち並ぶエリアへと進んだ。この際、セレモニーの立ち位置のまま、テープカットに参加していた知事や地元劇団の子どもたちに拍手されながら入場することとなり、知事の目の前を通過しながら、どんな顔をしていいのかさっぱり分からなかった。こんな事態は想定していなかった。10時開始で、駐車場が満杯だったり、ブースがどこも行列だったりしたら嫌だし、午後から松江ではスサノオマジックのシーズン開幕戦があるというので、どこまで影響があるのか分からないが、巻き込まれたら嫌だから早めに切り上げたいね、というくらいの気持ちで、9時50分に到着したのに、絶対的な人数の少なさゆえか、「オープン前から意気込んで並んだ猛者」のようになってしまった。しかしそのおかげもあって、3つ4つ、待ち時間なく体験ブースを回ることができた。時間が経つにつれてさすがに人も増えてきて、ブースに行っても「30分待ちです」なんて返事が来るようになってきたので、まあこのあたりが潮時だろうと、上客のように(1円も使っていないが)スッと会場を出た。まあまあ愉しめた。
そのあとはスーパーに寄って、昼ごはんの買い出しをし、帰りがけの公園でそれを食べるつもりだった。しかしその目的で立ち寄った公園、「古墳の丘 古曽志公園」に近寄ると、なんだか様子がおかしくて、「フェス会場 こちら」などという看板が立っている。慌てて検索すると、ちょうどこの3連休で、この公園を会場に音楽フェスが行なわれているらしかった。古墳が再現されていて、そして宍道湖が見下ろせるという公園に魅力を感じ、ぜひそこでお昼ごはんを食べようと目論んでいた一家を襲った悲劇。たまたま行こうとしていた公園でフェスて。仕方なく別の場所を探すことにした。ちなみにタイムテーブルを見ると、初日の正午あたりのこの時刻、出演者の中でたぶん一番の目玉であろう、PUFFYがやっているところだったよう。PUFFY! へえ!
それで次にどこへ行こうと思ったかと言えば、先ほど目にした知事にも関係する場所だが、宍道湖のほとりにある道の駅、秋鹿なぎさ公園で、これも同じく2年前、カヌーをしに行った場所であり、ここと知事がどういう関わりかと言えば、ここはあの、ちょっと全国ニュースにもなった、段ボール授乳室が設置され、批判が湧いたが、それに対して知事がちょっと格好いいことを言って株を上げた、あの道の駅であり、別に来るつもりはなかったのだが、来たからにはせっかくなのでひとつ実物を見てみようじゃないかとも思った。しかしあのニュースが話題になったからなのか関係ないのか分からないが、駐車場が満杯で、先ほどの公園に続き、こちらにもフラれてしまった。仕方なく昼ごはんは車の中で食べた。
次の日は僕自身はとてもインドアだった。ファルマンと子どもたちは、いつもの科学教室や、ポルガが図書館で勉強をするというのでその送迎をしたりして、わりと家にいなかった。それで僕はどうしていたかと言えば、借りてきた大河ドラマのDVDを観ながら、裁縫をしていた。つまりいい休日の過し方をした。作っていたのは、珍しく下着でも水着でもなく、久しぶりのキャスケットで、自分用のものがほぼ完成する。なかなかいい出来だが、作りながらひしひしと感じていたこととして、なんだかとても派手になってしまった。あまりに特徴的なので、これはさすがにちょっと「nw」にアップしづらい。まるでタイムボカンの主人公のコスプレのようだな、ということを思い、画像検索したところ、しかし歴代シリーズであまりそれっぽいものを被っているキャラクターはいなかった。それでもタイムボカン味が拭えないので、言うなればこれはタイムボカンの主人公の概念のコスプレだな、などと思った。
夜はラグビーワールドカップの、予選リーグ最終戦、アルゼンチン戦を観るぞ、と思い、実際に観始めるが、野球にしろサッカーにしろバスケにしろ、結局のところ僕はスポーツに関する素養が欠けているのだろう、観戦中ってなにをすればいいの? という状態になり、十数分で観るのをやめてしまった。なにをすればいいもなにも、ただ観戦をすればいいのだろうが、それができないのだった。結果は敗北で、そうか、と思った。
明けて今日、3連休最終日は、なんてったって出雲駅伝が開催されたのだった。ファルマンの両親は沿道での応援に繰り出したそうで、テレビ中継にも入り込んだらしい。わが家はもちろんそれはせず、交通規制のエリアや時間帯を避けるように、買い物などをこなした。3時のおやつには、わざわざケーキ屋で購ったロールケーキを食べた。この3連休、家に長くいたので、なんだかやけにコーヒーを飲んだのだけど、コーヒーの受け菓子としてハイカカオチョコレートをせっせと食べながら、じわじわとフラストレーションが溜まっていたようで、「きちんと甘いものが食べてえ……」という思いが募り、最終日の今日にとうとう大物を買って食べることにしたのだった。ストイックになり切れないな。
夕方になり、ちょっと泳ぎに行こうかと悩むが、迷った挙句、ひとりランニングなんぞしてみた。駅伝に影響されたわけではない。このところ水泳をしながら、いまいち満たされないというか、効果を感じられない部分があり、逆に走ったほうがいいんじゃね? と考えたのだった。やった結果どうだったかと言えば、慣れないためにペース配分を間違ったということもあるが、思うようにいかず、やっぱり泳ぐほうがいいかなあ、と思った。
とまあそんな感じの、充実していたような、茫洋としていたような、あまりよく分からない3連休だった。もっと活用したかったという思いもあるが、まあこんなもんだろうとも思う。穏やかではあったと思う。