土曜日の午前、出雲大社に行く。前回が2月16日なので、なんだかんだで8ヶ月ぶりということになる。久しぶりに行ってみたら、わが家から出雲大社は、思っていたよりもだいぶ近かった。近いのだからもっと頻繁に行けばいいとも思うが、気づけばやっぱり、次に行くのは8ヶ月後くらいなんだよな。ああ、でもさすがに1月か2月中に新年のお詣りに行くか。
ちなみに今回の参拝は、なんとなくぼちぼち顔を出しておくかというふわっとした理由ではなくて、ピイガの7歳のお詣りという明確な目的があった。もっとも7歳のお詣りといっても、きちんと代金を払って祈祷してもらうというようなことはせず、一応ピイガにはそれなりによそ行きの、普段は着ないワンピースを着せたが、それ以外はなんら特別なことはしない、いつも通りの参拝なのだった。
天気のよい神在月の土曜日とあって、出雲大社は賑わっていた。なにぶん出雲は観光地なので、県外から人が来て活気があるのはいいことだ。1年半にも及ぶ年季が明けて、日本人全体がシャバに戻ってきたような解放感があるなあと思う。賽銭箱の前に行列ができていて、それはすごく久しぶりに目にする情景だった。方々の神様にお詣りをし、前回と同じく財布の中の小銭は駆逐された。でもしょうがない。なにしろいまは日本中の八百万の神様がここに集結しているのだから、その全てに作用があるのだとしたら、コスパとしては申し分ない。たかだか合計で700円くらいの賽銭でそんな考え方をするような奴には、たぶん神様はいいようにしてくれないだろうけれど。
今回もおみくじを引いた。前回、「人に交はるには、和譲・恭敬・忠恕を旨とすべし。仮にも驕慢の態をなすべからず」という、身につまされるありがたい言葉をいただき、この8ヶ月それが実行できたかといえばそんなことはなく、それだから相変わらず人とうまく交はれずにおる。今回の訓は、「誠心を尽くして神に祈りを深めて依頼し、自己の過信の力に依頼するなかれ」ということで、残念ながら前回ほど刺さるフレーズではなかった。ちなみに文面のバリエーションがどれくらいあるのか知らないが、ともに引いたポルガもまったく同じ文面で、親子で過信を窘められた格好となった。
参拝のあとは、ファルマンの両親が7歳のお祝いってわけでもないけど、という感じで昼を奢ってくれるというので、実家に赴き、出前のそばをいただく。10月下旬の、晴れた、しかし山陰の屋外は、暖かいような寒いような実に微妙な感じで、参拝客の格好も、Tシャツ姿の猛者もいればダウンを着込んでいる人もいて、というように本当にまちまちで、それなりの服を着ていたわれわれ一家も、やはりなんとなく体が冷えていたような感があったので、温かい麺がおいしかった。
そのあとは買い物の用事があり、親が子どもたちを見ていてくれるというので、置いてファルマンと出た。主な目的は100均で、いま僕は机周りの整理に燃えており、そのためのケースなどを大量購入した。買い物を終え、買って帰ったハロウィン仕様のミスタードーナツをみんなで食べて、実家をあとにする。
そうして帰宅し、それでこの日はおしまい、ではない。なんとこのあと、家族でおろち湯ったり館に行く、ということをした。なにぶん明日も休みだと思うと、土曜日はどこまでも目一杯に愉しんでやろうという執念が湧き、常にプールに行きたがっている子どもたちとともに、なんとかファルマンを説得し、実現にこぎつけたのだった。偏愛するおろち湯ったり館だが、実は家族を連れていくのは初めてである。父親がやけに話をする「おろち湯ったり館」なるものに、ようやく本当に行くことができた、という感慨が子どもたちにあったのかどうかは知らない。土曜日の夜ということで、むちゃくちゃ混んでいるだろうか、プールなんか大賑わいだろうか、と不安だったが、蓋を開けてみたら貸し切りだった。島根のいつものやつ。泳がないファルマンは寒いので、ひとり温泉のほうに行ってもらい、子どもたちとしばし泳いで遊ぶ。そして所定の時刻にファルマンに迎えに来てもらい、子どもたちは女湯へ、僕は男湯へと分かれた。温泉のほうもそこまで混んでいなかった。家族と一緒なので、今回はサウナをする時間はない。純粋に温泉だけを堪能する。サウナで体を温めていない状態での2階の露天風呂は、さすがに少し寒かった。雪のよく降る雲南市にあるここは、冬季になると2階は閉鎖される。たぶんもうすぐだ。1階の屋内浴場で体をしっかり温め、出た。出る時間は打ち合わせていなかったため、すごく待たせたり、すごく待ったりが不安だったが、ちょうどよかったようだった。
帰宅後は、白菜とベーコンの鍋にサッポロ一番塩ラーメンを入れて、手製の鍋ラーメンというか、とにかく体の温まる、おいしくてしょうがないものを作り、おいしくてしょうがなかった。なかなかハードなスケジュールをこなした日の、明日も休みの、味の濃い鍋での、日本酒。疲れもあり、もう朦朧となるくらいの酩酊とまどろみ。やっぱり鍋は幸福感が強いな。冬はしこたまやろう、と思った。
食後は、なんとなく11時頃までは起きていたけれど、やはり疲労と酔いでなにをするということもなく、少しだけ机周りの整理をしたほかは、ほぼ何もせずに寝た。
8時間ほどたっぷり寝て、布団は気持ちよく、体はすっかり健やかで、いい朝を迎えた。
午前中は机周りの整理、昼に焼きそばを作って食べたあとは、食料品の買い物に出て、午後はまたひたすら机周りの整理をした。なぜそんなにも机周りの整理をしているのかといえば、先日ファルマンと僕の部屋の模様替えをして、物の配置が大きく変わったからで、これを機に、溢れ返ってぜんぜん管理できなくなっていた資材を、使わないものは捨て、使うものは使いやすいようにしようと、本腰を入れて作業をしたのだった。合計で8時間くらい費やしたんじゃないだろうか。今日の夕方でようやく一応の完結を迎えた。時間をかけただけあって、非常に快適になったと思う。これで作業効率もアップすることだろう。いい気持ちで新しい週を迎えられそうで嬉しい。
晩ごはんは揚げワンタンの甘酢がけ。初めて作ったが、とてもおいしくできた。餃子もシュウマイもワンタンも、どうも僕はやけにそこらへんの料理に適性がある気がしてならない。僕の作るそれらは、お店でも食べたことがないくらいおいしい。
そんな週末だった。とてもよい週末だった。