3連休の最終日は雪

 3連休最終日。特になんの予定もなかった。ファルマンとのんびりと起きて、子どもたちは既に起きてアニメなどを観ていて、朝食用のパンをオーブンにセットしたあと、なんの気なしにカーテンを開けたら、雪景色が広がっていたのでとても驚いた。昨晩観た予報で、朝方に雪のマークは出ていたのだけど、どうせ標高の高い一部の地域だろうと重く受け止めていなかった。そうしたら普通に5センチくらい積もっていた。
 慌てて朝の準備を済ませ、たくさん着込み、子どもたちとともに外に飛び出る。今年はこれまで、いちども積もっていないのはもちろん、雪が舞うことさえなかったので、急な5センチの積雪は本当に驚きだった。出雲で暮していないピイガは、そもそもこれまで雪でちゃんと遊ぶということをしたことがなく、させてやりたいものだと時おり夫婦で語り合っていて、しかし雪がきちんと積もっている場所へは、そんな装備を持たないわが家の車では行くことができないので、いつまでも実現せずにいた。それが今回、積雪5センチほどながら、とりあえず体験させることができたので僥倖だった。5センチの積雪は、北の人間に言わせれば積もってないようなものかもしれないが、雪に慣れていない人間からするとなかなかのものである。雪玉を作って投げたり、30センチほどの高さの雪だるまを作ったりなんてことは悠々とできた。たぶん本格的に雪が積もっている場所に行ったとしても、8歳児と5歳児とともにやることと言えば、これにあとは橇滑りが加わるくらいものだろうと思う。ならば雪遊びの情趣の6、7割くらいはこれで賄えたのではないかと思った。僕自身も久しぶりの雪遊びにはそれなりに心が躍ったが、それ以上に今日が祝日であった安堵に心がいっぱいになった。雪は5センチの積雪だけをもたらしたのち、我々が遊びはじめたころには既に降り止んでいた。なので午後にはいい具合に溶けてしまうことだろう。なんの予定もなかった祝日に雪が少し積もって子どもと遊べ、そして明日の出勤にはなんの問題ももたらさなそう。これほどタチのいい雪があるかよ、と思った。思考がどこまでも大人のそれで、我ながら哀しくなるけれど、5センチの積雪で心の底からはしゃげる35歳が正しいはずもないので仕方がない。
 ひとしきり遊んだのち、帰宅。体が冷えた。昼ごはんはラーメン。午後はエアコンを効かせた部屋でのんびりと過した。3連休中日の昨日は家族で図書館に行って、これでもかと本を仕入れてきていたので、その本を読んだりした。
 4時くらいになり、夕飯の買い物ついでに、雪の様子をうかがう。期待通り、雪はだいたいが溶けていた。作った雪だるまは残っていたが、それも最初より撫で肩になっていて、頭部が落下するのも時間の問題のように見えた。
 晩ごはんは、ファルマンがとても珍しく食べたいものをリクエストしてきたので、それにしたがって海老のチリソースを作る。作ると言っても、海老のチリソースをちゃんと作るのはあまりにもコストパフォーマンスが悪そうだったので、クックドゥの力を借りて調理した。めったに食べない食べ物なので、新鮮味があっておいしかった。しかし子どもたちは「からい」と言って食べつけず、仕方ないので替わりのたんぱく質として魚肉ソーセージをかじらせた。
 そんなような3連休の最終日だった。基本的にのんびり過し、時間が間延びしたような日々だった。今日、福山市立動物園のことを思い出すと、それがたった2日前のことだとは思えない。もっとだいぶ前のことのように思える。ということはよほど充実した3連休だったのか、と言われると別にそんな感じもなく、ちょっと不思議な感覚がある。知らぬ間に高速の宇宙船にでも乗っていたのかもしれない。