岸田のおじさんと横浜の祖母が、年末年始にかけてまとまったお金をくれたので、ミシンを買った。娘たちが裁縫に親しんでくれるよう、ほどよい家庭用コンピュータミシンを選んだ。僕はオーバーロックミシンも持っているので、家庭用ミシンに求めるとするなら、ボタンホールがきれいに縫えることくらいなのだが、そういう部分を満たそうとすると、途端に価格が跳ね上がるので、2万円ほどのもので手を打った。それでも多様な飾り縫いや、もちろん一応のボタンホールも縫える。メーカーはジャガーで、ボビンが水平ではなく、ボビンケースにセットしての垂直式なのがいいと思った。プラスチックの、水平のあれって、壊れた前のミシンがそうだったのだが、どうもおもちゃ感があって好きじゃなかった。糸掛けも、もちろん糸カセットなどではなく、きちんと糸道にしたがって通す必要があるもの。やっぱりミシンはこうでなくっちゃいけない。意外だったのは、前のミシンに搭載されていた自動糸切り機能が、あれから10年以上経って、ミシンの標準装備になっているのだろうと思っていたら、2万円台くらいまでのミシンにはついていなかったことだ。その機能を求めると、やはり価格が跳ね上がる。どうもこれは、ミシン業界が共謀して、差別化としてそういうことにしているようだな、と思ったのだが実際はどうなのだろう。まあなければないで、そういうものかと思うようで、娘たちも縫い終わったあとは少し引っ張って手で糸を切っている。リビングの一角にテーブルとミシンを常設しているので、こちらの願った通り、かなりフットワーク軽くミシンを踏んでいるようで、嬉しい。いろいろ作り、思ったものが作れるようになればいいと思う。
姉の夫、義兄がコロナ陽性だそうだ。とうとう身近な人間に出た。オミクロンの感染状況からすれば不思議じゃないし、なにより義兄ならばもっと早く罹っていてもおかしくなかった。実際にどういう仕事で、どういう働き方をしているのかは知らないが、たぶんいろんな人と会うのが仕事みたいな仕事だと思うし、なによりかにより、日々横浜市営地下鉄に乗ったり、田園都市線に乗ったりしているのだ。遅かれ早かれ感染するに決まっている。田舎の人のほうが感染に過敏で、県内に十数人ほどの感染者が出ると、あそこの店だとか、あの会社の人だとか、どこからともなく情報が伝わってくるという、リアル村八分的な、そういう感じなのだが、車通勤のこの人たちが、朝の田園都市線を見たら、発狂するのではないかと思う。かくいう僕やファルマンも、だいぶこちらの暮しに毒され、公共の乗り物に乗りたくないという理由から、帰省の踏ん切りがつかないでいるのだけど。幸い義兄は軽症で、姉と姪と甥は自宅待機らしいが、母や祖母との接触は該当する期間になかったそうで、老婆たちは免れたらしい。よかった。