あきふゆへ

 買い物に出る。出がけは肌寒いような気がして薄手のコートを羽織ったが、車内で陽射しを浴びていたら途端に暑く、コートを脱ぎ、さらには弱く冷房まで入れた。10月って結局こう。それで油断してたら、11月からマジの寒さがやってくるのだ。
 ショッピングモールで、雑多にいろいろと見て回る。
 書店では、近ごろポルガが英語に興味を持ちはじめているらしいので、それならポルガに指導をしつつ、僕自身も英語を学べたらいいなあと夢物語のようなことを願って、いい教本はないかとじっくりと吟味した。そもそも新刊書店で本を眺めたのが久しぶりだったが、しかもコーナーは語学。高校生以来だと思う。買いはしなかったが、まあこういうことだよな、というジャンルは見出せた。
 それから手芸屋では、papapokkeのネームを作るための生地を買う。これまで白いシーチングに消しゴムはんこを捺していたのだけど、インクの乗りや、洗濯したあとの感じが微妙だったので、しっかり目が詰まってパリッとした生地を求めていた。それでいろいろな生地を触って、これなんかいいのではないかと、キャラコを50センチほど買ってみた。300円ほど。安い。これで具合がよかったら万々歳だな。
 眼鏡屋も覗く。数ヶ月前に僕が見立てて買ったファルマンの丸眼鏡が、やっぱりどうにも羨ましくて、さらには録画して観ている「まんぷく」の長谷川博己がかっこいいので、欲求が高まっているのだった。丸眼鏡って、少しの逸脱ですぐに「狙いすぎ」「さすがに寒い」みたいな空気を放ちはじめるので、冷静な頭でしっかりと精査しなければならないと思う。店頭でいくつか掛けてみて、それなりにしっくり来るものもあった。なにぶん眼鏡は消耗品なので、そのうち買うことになるだろうと思う。
 それから子ども服売り場で、子どもたちの秋冬用のキャスケットを買う。これまで春夏用の揃いのキャスケットはあったのだが、秋冬用はなくて、求めていた。ネットで買おうかと思っていたが、あまり期待していなかった店頭をチェックしたら、ネットでは出会えなかった「これぞ」というデザインのものがちょうど見つかり、喜び勇んで買った。しかもカープ優勝記念でとても安くなっていた。嬉しい。ちなみに赤い帽子ではない。
 そんな買い物を終えたあとは、とんかつ屋に寄って、昼ごはんにかつ丼を食べる。お店のかつ丼が食べたい気持ちが溜まっていて、とうとう満を持して実行できた次第である。おいしかった。かつ丼はおいしい。かつ丼はいま、僕の中で餃子と双璧を成す好物になっている。
 午後は家でのんびりと過した。トースターで時間をかけて焼き芋を作ったり、その間に夕飯のおでんの下茹でをしたり、それからもちろん昼寝をしたり。陽射しを浴びてかつ丼を食べたので、ちょっと体力が持たなかった。僕の体力のなさ、そしてそこからの昼寝は、一種の芸のようになってきている感がある。ファンがついていてもおかしくない。
 そんなわけで夕飯は今シーズン初のおでん。言うまでもなくおいしい。汁がとことんうまい。汁と、酒と、あと種3つくらいあれば、もうひと晩それでいける感じがある。おでんは相変わらずすぐにお腹いっぱいになるのだった。それは分かっているくせに、どうしてもあれもこれもと買い求めて、鍋いっぱいに作ってしまう。さらにはうどんなんか入れてしまうので、いよいよ種が減らない。もちろん大幅に残る。明日の夕飯もおでんだ。