なかった6月の終わり

 雨の日曜日。レジャーを計画していたとかは別にないので、なんの問題もなかった。
 午前中に車で出掛け、まずは手芸屋へ。ちょっと久しぶりに手芸屋に行った。暮しの中で作ろうと思うものが浮かぶと、家にも布はある(ファルマンに言わせれば「腐るほどある」)のだが、やっぱり「それ」をイメージした「それ」用の布を買わねば、となる。そして買った布をそのつどすべて使い切るわけではないので、手芸をする以上、家にはどうしたって布が増えてゆくのだった。今回は作ろうとしているもののイメージがはっきりと定まっていなかったため、布のセレクトに往生したが、とりあえずひとつを選んで購入した。
 そのあとは100円ショップに行き、図書館に行き、昼ごはんにうどん屋でうどんを食べ、最後に食料品の買い物をして帰った。なんとも実直で平凡な休日だな。それぞれの場所で求めていたものが手に入ったので、外出の出来としてはなかなかよかった。
 昼ごはんを食べて帰宅したので楽だった。晩ごはんは久しぶりにミネストローネを作ることにしたため、面倒にならないうちにやってしまう。野菜をわんさか刻んだ。野菜はこのところまあまあ安いのが続いている。ここまでの2ヶ月ほどはだいぶ雨が少なかったが、それは農業にとってはぜんぜん困らない仕組みになっているのだろうか。逆に雨が続くと途端に値段が上がったりする。現代の野菜作りに降雨はまったく必要ないのかもしれない。
 それから、やるかどうするか大いに悩んだが、せっかくの休日なのだからということで発起し、先ほど買ってきた布で目的のものを作ることにした。
 目的のもの、それはヘアバンドである。自分用の。違う。そういうことじゃない。とうとうヘアバンドとかスカートとか、そっちのハードルを乗り越えてしまったというわけではない。もしそうだったら、それは最近の筋トレの流れに反していて、いよいよわけが分からなくなるだろう。そうではなくて、これもあくまで筋トレに付随するアイテムで、汗止めのためのヘアバンドというわけである。ランニングマシーンで走ったりすると、汗がとめどなく流れて目に入るので、汗止めが欲しい、必要だ、ということになっていた。あのサッカー選手とかが着けてる細いタイプのやつ。それで最初はアマゾンとかで買おうと思っていたのだけど、大きさがフリーサイズしかなくて、僕は帽子だとフリーサイズという謳い文句のものが入らなかったりするのでネットで買うのが怖く、どうしたもんかと悶々とした末に、そうだ自分で作ればいいんじゃんか、それなら布の色柄だって自分の好きなものでできるんだし、と思い至り、ハンドメイドすることにしたのだった。
 その作り方は、ネットで検索しても適当なものが出てこなかったため、とりあえず細く長く切った布を縫い合わせて紐のようなものを作り、その両端にゴムを縫い付ければいいんじゃないかなー、と見切り発車で作りはじめた。かくして出来上がった、買ってきた布の幅そのままの110×1.5センチほどの紐を、試しに額に当ててみて、まずは首の後ろでちょうちょ結びでいいか、と装着してみたら、なんか思った以上にそれでしっかりと固定され、さらにはバックショットがリボンみたいでかわいくなったので(ただしくれぐれもハードルを乗り越えたわけではない)、あれ? ゴム要らないんじゃね? これで完成なんじゃね? となって、両端の開口部を中に折り込んで全体にコバステッチを施し、それで完成とした。つまりは、紐である。あるいはリボン。あまりにもただそれだけのものなので、写真に撮って「nw」にアップするほどのものでなさすぎるため、こうしてこの生活日記ブログのほうで扱った。でも手作りなのでやっぱりなかなか愛着がわく。買った布は赤に白の細かいドット柄。それを作ったあと、興に乗って、洗い替えも必要なのではないかと、家にあった青に白の小花柄の布でも同じものを作った。これからはこれを着けてトレーニングをしようと思う。嬉しい。愉しい。
 それから夕飯。ミネストローネの他に、鯖の水煮缶とじゃがいものグラタン、カツオのたたきというメニュー。とても分かりやすいたんぱく質強化メニュー。
 まあそんな感じの1日だった。6月が終わる。5月は長かったが6月は短かった。5月の終わりに改元のあたりの日々を思い返した感触と、いまそれを思い返した感触が、ぜんぜん変わらない。つまり6月なんてものは存在しなかったのかもしれない。