8年越しレジャー!

 恨みを晴らすかのようなレジャー猛攻、今週は、広島県は庄原市にある、国営備北丘陵公園へと遊びに行った。広島県ということは、俗にいうところの「県をまたぐ移動」である。「県をまたぐ移動」という言葉の、人聞きの悪さったらない。しかしまあ、去年は帰省なども含め、それは行なっても決してブログにこうして書き記すことはできなかったけれど、今は一応こうして、この程度のことは書いても大丈夫な空気感になったな、と思う。いやあまったく、空気感ですよ。新型コロナウイルスというのは、いろんな意味で本当にどこまでも空気次第なものだな、としみじみと思う。
 先週に引き続いて並々ならぬ情熱により、僕は昨晩から調味料に浸け込んでおいた鶏肉を起きてすぐ揚げ、おにぎりを作り、卵をゆでて、お弁当をこしらえた。そして洗濯物を干し終わるなり、庄原に向けて出発した。
 道のりはほとんど高速道路なので、楽々である。6月に買ったフリードには、買う前はぜんぜん考慮していなかった機能として、ACCとLKASというのがあって、前者は設定したスピードの範囲内で前の車との車間距離なんかも維持しつつ車が勝手にスピードを加減してくれる機能、後者は車線を車が認識してそこからはみ出さないように車が勝手にハンドルを操作してくれる機能で、「自動運転」という言葉は、いろいろな制約があって堂々とはいえないらしいが、まあ要するに自動運転にほかならず、これがもう、本当にすごく楽なのだ。もちろんそれなりに注意を払いつつハンドルは握っておかなければならないのだけど、それでもちゃんと運転するのとは大違いの楽さ。なんだ、この機能がついている車の奴らは、こんなに楽して高速道路を走っていたのかよ、とそっち側になって逆にムカついたほどである。別にディスりたいわけでもないが、「ワゴン車ってほどでもないけど念のため3列シートのファミリーカー」というジャンルで、フリードと双璧をなして誰もが選択を迫られる某メーカーの某クルマには、同様の機能が付いていないらしいので、純粋に乗り心地だけで決めたけど、本当にフリードにしてよかったと最近になって改めて思った。もう今後の買い替えで、この類の機能がついていない車は絶対に選ばない。もっともこれからは軽とかにもどんどんこの機能が搭載されていくんだろう。「ちゃんと自分で運転しなければならない車」は、今後オートマ車に対してのマニュアル車みたいな存在になっていくのだと思う。珍しく車の話なんかしてしまった。ACCとLKASがあまりにも快適なので、自慢というより、喧伝したい気持ちなのだ。燃費とか馬力とかじゃない、車を選ぶ基準はとにもかくにも、自動運転機能がついてるかどうかだよ、自動運転機能しか勝たんよ、という思いである。
 公園には11時半ごろに到着した。実はこの公園に遊びに来るのは2度目で、1度目はピイガが生まれる前、ファルマンの両親とともに5人で行っていた。いつだろうかと検索をかけたところ、2013年の本当にちょうど同じくらいの時期、10月5日のことだった。そうか、8年も前になるのか。当時の日記では、なぜか公園の名前を濁していて、そのせいで「備北丘陵公園」と検索しても記事が現れず、面倒を被った。なぜ濁したのか、居住地を探られたくないというネットリテラシー的なことだろうかと思ったが、前後の記事を見ると島根県内の公園の名前はバンバン出しているのでそんな意図はなさそうだ。情勢的には、冒頭にも書いた通り、「県をまたぐ移動」となる(当時は予想もしていなかった情況である)8年後の今のほうが、緊急事態宣言は解除されたとはいえ、どちらかといえばよほど他県の公園に行ったことを濁すべきで、なんともちぐはぐな感じである。でもしばらく考えて、きっとこういうことだな、と思った。すなわち、両親主導らしいこの日の公園行きを、僕はあまり好意的に受け止めていなかったんだろう。だから投げやりで、公園名さえも本当にあまりきちんと把握しようとしなかったんだろう。なんとも狭量で厄介な奴だな、8年前の僕という奴は。8年前の。まあたしかにこの日はずいぶんな雨で、寒く、公園行きは普通に考えて中止すべきで、でも決行して、決行した結果、にっちもさっちもいかない感じに終わって、さんざんだったけども。
 それに対して今日は降水確率0%の晴天で、陽射しが出ると暑くて参るほどで、しかし木陰に入ると風は涼しく、素晴らしいレジャー日和だった。8年前の雪辱を果たしたな、と思った。もっとも8年前、たとえ晴れていたとしても、2歳のポルガにこの公園は早すぎたのではないかと、8年後の今日、10歳のポルガと7歳のピイガを連れてきて、遊具やアスレチックで躍動する姿を見て、思った。もっとも8年前であれば、親ももう少し一緒に挑戦したりしてやれたであろうアスレチックは、エリア内を一緒に歩いてやって見守るくらいが精一杯で、そんなことを言えばそもそも、実は今回の備北丘陵公園行きにおいて、8年前のことが頭にあったのと、車が6人乗りになったこともあり、やんわり両親にも誘いをかけたのだが、8年前レンタカーを借りてまで公園行きを主導した両親は、「暑くてへばりそうだから」という理由で誘いを断ってきたので、8年経って子どもはちゃんと成長し、両親や祖父母はちゃんと老いたものだな、ということも感じた。時代は回る。長年ブログを書いていると、視点がだんだん長大になってくるものだ。
 ひととおりの遊具をこなし、弁当を食べ、どんぐりを大量に拾い、コスモスを眺め、広大な公園をたっぷりと堪能した。レジャー欲が大いに満たされた1日だった。
 公園を出たあとは、綿密な下調べにより存在を知っていた、公園近くにある「ラ・ムー」と「ザ・ビッグ」に寄る。どちらも、岡山にはあって島根(ファルマンの免許取得の際に行ったが「ラ・ムー」は松江にはある)にはない、ディスカウントスーパーである。僕にとっては公園と同じくらい、これらの店での買い物は、今日の遠出のメイン目的といってもよかった。目一杯買うつもりで買い物かごやエコバッグを車に乗せていたが、いざ行ってみたら、まあこんなもんかな、という程度にしか買わなかった。安いものもあったし、そうでもないものもあった。岡山時代の買い物の記憶で、「向こうの店はあんなに安かった」「向こうならあの値段なのに」ということを現在の島根で思ってしまいがちなのだが、実はこの1、2年で物価そのものが上がっているので、あの当時の値段のスーパーなんて、もうこの世には存在しないのだ。それなのに、岡山のスーパーは安かった、島根はやっぱり物流が中国山地で滞る分だけ物の値段が高いのだ、などと憎々しく思ってしまって、そんなの精神的に不健全だな、と反省した。買いたいものはある程度買えたので、それなりに満足いった。
 帰宅後のビールがおいしかった。やっぱり日中に陽を浴びたあとのビールは格別だな。アスレチックや遊具をしたわけではないが、アスレチックや遊具をする子どもに寄り添い、園内を巡ったのだ。これほどの運動があるかよ。