まとまりのない3連休

 3連休だった。
 正月に帰れなかった代わりに、実はこの3連休で横浜に帰省する、という計画があった。しかし事前に母に打診したところ、ここは都合が悪いということで実現しなかった。しなくてよかった。年度末に近いこの時期、子どもたちの学校もあと1週間だけあって、ちょっと体力的に横浜帰省は厳しかったろうと思う。
 帰省しなくなったので、ファルマンは3連休前日の金曜日に、3度目のコロナワクチンを受けた。ちなみに僕は今回は職場の一斉ので受けることにしたため、別々となった。1回目も2回目も、ファルマンはまあまあの熱を出したので、今回も覚悟はしていたが、やはり翌日の3連休初日はつらそうだった。今回は高熱よりも頭痛が強かったとのこと。聞いただけでつらそう。「でも、ワクチンでこんなにつらいのだから、実際に罹ったらもっとつらいんだろう」とファルマンは言っていて、しかし一方でオミクロンは概して無症状や軽症とも言うし、つくづく人間と新型コロナの関係性というのは、丸2年が経過してもぜんぜん確定しないな、と思った。
 ファルマンが臥せっていたこの日、義父母が子どもたちを連れ出してくれるというので、すわ、おろち湯ったり館チャンスではないかと一瞬色めき立つが、「そうすれば世話をしやすいでしょう」と義母に牽制され、どうもこれはファルマンをひとり置いて湯ったり館に行ったら顰蹙を買うやつだな、と思って自重した。ワクチンの副反応でのダウンって、病気ではないので、看病というわけではないし、寄り添ってやる必要があるのかどうか、すごく微妙なところだと思う。
 結局ファルマンは丸一日つらそうにしていた。次の日になると、さすがにだいぶ波は過ぎ去ったようで、どうしたって体調を崩したダメージは残っている様子だったが、それでも普通に起き上がって過した。
 この日の午後は、義母が通っているパッチワーク教室の発表会があり、義母も主催側として雑務をしているというので、そこへわが家と、あと相乗りを希望してきた三女も連れ、顔を出した。普段の話を聞くに、マダムたちの憩いの場であるらしいパッチワーク教室の、その発表会は、教室生マダムの、知人の非教室生マダムが、ネズミ算式に結集する、純度の高い濃厚なマダム空間だった。われわれ5人はだいぶ異質で、場の平均年齢を下げていた。パッチワーク作品は、大きかった。大きいなあ、という感想以外、センスや技術みたいなものは、門外漢なので判断しようがなかった。
 会場をあとにして、実家に三女と子どもたちを置いたあと、僕とファルマンだけで買い出しに出直す。この際にパソコンを買う。さらりと書いた。これまで使っていたパソコンが、どうにもこうにも重たくなり、また1年半前くらいにそれを買った際は、「もう俺、パソコンで創作ってんでもねーし!」と、いま思えばなんとなくやさぐれていたのか、ワードも入っていない安物を買ったのだけど、それが真綿で首を絞めるように、じわじわと不自由さから来るストレスをもたらすので、それを長年、壊れるまでいやいや使い続けるよりも、早い段階で見切りをつけ、やっぱりそれなりにちゃんとしたパソコンを買おうということになったのだった。これまで使っていたものは、壊れていないので、中身をまっさらにしてリビングパソコンとして余生を送らせることとした。新しいパソコンは、どういうものにするかいろいろ悩んだが、結局生まれて初めてのノートパソコンになった。ノートパソコンってみなさん知ってますか。パソコンなのに、持ち運べるんですよ。そんなのめっちゃ便利じゃないですか。ちなみにいまどきはノートパソコンとタブレットのあいのこのような、シュッとしたものもたくさん出ていて、むしろそちらのほうが主流のような感じもあったのだが、たぶんその簡略さ、その便利さは、僕よりも若い世代の人にとっての快適さなのであって、きっと僕はあくまでパソコンの、その持ち運びができるものとしてのノートパソコンという形が、便利さの頂点だろうなあと考え、選んだ。嬉しい。新しいパソコンそのものも嬉しいし、これまでは工業用ミシンの左のテーブルスペースに、デスクトップパソコンとキーボードが設置されていて、どちらの作業をするときにも滞りがあったものが、いまもノートパソコンは基本的に同じ位置にあるにはあるが、やっぱりこれまでに較べてぜんぜんすっきりしている。ましてや、よほど本格的にミシンをするときには、ノートパソコンは動かせばいいわけだし。だからつまり、とてもいい環境になった。
 3日目は概ね家で過した。この3連休は、全般的に天候がよくなく、肌寒かった。ファルマンが本調子でなかったので、ちょうどよかったけれども。午後になり、僕と子どもだけで、近所を僕はジョギング、子どもたちはサイクリングをする。ジョギング習慣はそれなりに板についたが、ぼちぼちプールも再開できるので、これから頻度は減るだろう。プール、前回が大みそかの湯ったり館なので、もう80日も泳いでいないことになる。渇望している。ジョギングのあとは、趣味のビキニショーツ作りに励んだ。近頃はすっかりインナーの自作が趣味の人になっている。いろいろな柄の生地で作るのが愉しい。
 そんな感じの、わりと茫洋とした、まとまりのない3連休だった。