カラオケと焼き肉

 外遊びができない酷暑なのでカラオケに行く。別にそんな言い訳は必要ないのだが、いちおう言ってみた。唄ったのものを順番に挙げて、雑記も併せて書く。
 1曲目、「カントリーロード」(本名陽子)は、もちろん昨今の「耳をすませば」ブームによるセレクト。しかしこの歌、最初がアカペラから始まるので、まだ歌を唄うモードになっていない1曲目に選ぶのはちょっと間違いだった。ぜんぜん音が取れなかった。メロディが始まってからはまあまあ唄えた。途中でハッと思い至り、マイクを置いて、手のひらを体の前で合わす感じで、聖司の工房で唄う雫風に唄うことにした。そうしたらピイガがいち早くそれに気付き、こちらに駆け寄ってきて、マイクを僕の口に向けてくれた。かわいいし気が利く。この子は将来モテる。
 2曲目、「好‐じょし‐」(坂口有望)は、これも最近のブーム、TikTokでその存在を知り、それなりの回数を聴いたので、唄ってみることにした。僕がこれを唄った次にファルマンが予約していた歌が菅田将暉の「さよならエレジー」で、なんだかセレクトが高校生のカラオケみたいだな……、と甘酸っぱい気持ちになった。小室世代の我々も、なんとか現代の流れに取り残されまいと、ジタバタしているのだ。ちなみに性別が逆だけど。
 3曲目、「狙いうち」(山本リンダ)。この歌の冒頭の男声コーラスによる「ヘイ! ヘイ!」の部分が好きで、そこを聴くために曲を聴いたりする。実際に歌を唄ってみたら、思った以上に唄いやすく、さすがは阿久悠だと思った。ウララの部分をノリよく唄えるか不安だったが、問題なかった。
 4曲目、「マイムマイム」(イスラエル民謡)。カラオケにこれが入っているのは、酔っ払いが狭いカラオケルームで踊る余興をするためだろうか。僕はきちんと歌唱する。シャッテンマイ、ベッサソン、ミーマイネーハーイェーシューワ、と繰り返し唄った。ちょっとステップも踏んだ。
 5曲目、「愛をこめて花束を」(superfly)。最近またこれを聴き込んで、車内で唄い込んでいる。そのため前回よりもちゃんと声が出て、歌詞には出ないシャウトの部分とかも再現できるようになってきた。しかし唄ったあとの疲労感はやはりすごい。
 6曲目、「未知という名の船に乗り」(合唱曲)。ちょっと前に存在に気付き、感動した合唱曲。阿久悠作詞、小林亜星作曲。歌はとてもいいのだが、小学生用なので音が高い。「ちょっと疑問もー」のあたりなど、本当にきつかった。
 7曲目、「はなまるぴっぴはよいこだけ」(A応P)は、なぜかいまさら唄ってみた。いつもの、アニメそのものに思い入れはないけど唄ってみるパターン。趣味を同じくする仲間と盛り上がって唄ったらたぶんとても愉しいんだろうなあ、という気持ちになった。家族の反応ポカーン。
 8曲目は「夏祭り」(whiteberry)。前回のファルマンの歌唱がよかったので、今回は僕が唄わせてもらった。しかし前回のそれほどの感慨は湧き上がらなかった。この歌って、6、7年にいちど聴いて、その瞬間にグワッと心を揺さぶられて、そしてまた6、7年後に聴くべき、そんな歌のような気がする。
 9曲目は「手を繋いで歩こうか」(欅坂46)。このいかにもアイドルっぽい曲が、邪道なのかもしれないが欅坂の中で僕はいちばん好きだ。ユーチューブでライブ映像などを見て、振り付けを少し覚えていたので、踊りながら唄った。ファルマンがファンの男性役をやってくれた。
 最後の10曲目は、悩んだ末に「君は薔薇より美しい」(布施明)を選んだ。やっぱりこれは唄っておくか、という感じで。しかしこの頃にはもう喉がずいぶんと疲弊していたので、ディナーショーでさんざん客イジリをしながら唄う布施明、という設定で、ファルマンを客のおばさん役にして唄った。もう持ち歌すぎて、歌詞を見ないで唄えるので、そんなコントだってできるのだ。
 そんな全10曲歌唱。愉しかった。カラオケは愉しいなあ。なんだってそうかもしれないが、回数を重ねれば重ねるほどできることが増えるので、ますます愉しくなる。もはや巧者になりつつある気がする。著しく家族としか行かないのだけど。
 カラオケのあとは、図書館に行ったり、ショッピングセンターに行って8月の島根帰省のおみやげを買ったり、スーパーで食料品の買い物をしたりして帰る。
 晩ごはんは、ここらでひとつスタミナをつけとこうぜ、ということで、焼き肉にする。その下拵えをしながら、焼き肉のタレがないことに気付き、もう買いに出るのも面倒くさかったので、ネットを見てそれっぽいものを自作することにした。玉ねぎをすりおろしたりして。結果、まあまあ成立しないこともないものができあがったが、自作したから余計においしい、ということはまるでなかった。先日、夕飯がハンバーグだった際、おろしのタレが冷蔵庫になかったため、大根おろしをわざわざ作り、それとポン酢で食べたのだが、食べてみて分かったのは、わざわざ家庭で大根をすりおろすよりも、出来合いのおろしのタレのほうがよっぽどおいしい、ということだ。なんかたぶん、オイシクナルヤーツが多量に入っているからおいしいのだと思うのだけど、おいしくなるのならオイシクナルヤーツを入れれば別にぜんぜんいいと思っているので、こういうのはちゃんと商品として売っているもののほうが、自作のものよりも絶対的に優れているのだ。それを解った上で、それでもわざわざ買いに行くのが面倒だったので、自作した。タレに関してはそんな感じだったが、それでもやっぱり焼き肉はおいしかった。焼き肉の肉感は、焼き肉でしか得られないもので、その得られるものの中には、おいしさ以外に、効用方面で、多分にプラシーボ効果が含まれていると思う。焼き肉を食べたのだから俺はいま元気でなければ理屈としておかしい、などと思う。