カラオケと雑炊

 春分の日。桜はまだ。天気もよくない。カラオケに繰り出す。最近はプールに行くようになり、カラオケからちょっと足が遠のいていた。親が「今日はカラオケだぜ」と盛り上がっていたら、子どもたちは「プールがいい」と文句を垂れていた。健全なことでなによりだが、しかしながら今日はカラオケの気分(僕はプールにいつだって行けるし、ファルマンはいつだってプールにそんなに行きたくない)だったので親の強権でカラオケを断行した。
 唄ったのは以下の通りである。
 1曲目、「真赤な太陽」(美空ひばり)。初めての美空ひばり。唄いやすかった。
 2曲目、「ロマンスの神様」(広瀬香美)。有線で流れるのを聴いていて、このあっけらかんと明るい感じにやけに感動した瞬間というのががちょっと前にあって、唄おうと思った。しかしやってみたらすごく難しかった。ほとんどメロディがないところへ、アカペラのように歌を乗せていかなければならないのだった。
 3曲目、「アイノカタチ」(MISIA)。美空ひばり、広瀬香美と来て、MISIAである。お前はいったい自分の歌唱力をどれほどのものだと思っているのか。強気すぎるだろう。でもこれはわりと気持ちよく唄えた。MISIAを。気持ちよく。マジか。
 4曲目、「ドスコイ! ケンキョにダイタン」(こぶしファクトリー)。この流れで突然のこぶしファクトリー。どんなフェスだ。
 5曲目、「ペリーヌものがたり」(大杉久美子)。いよいよの混沌。「ドキドキプリキュア」の連日放送が終了したあと、急に始まった「ペリーヌ物語」のオープニングテーマ。「ルンルン」という表現のはしりだと言われているが、真偽のほどは判らない。
 6曲目、「ハピネスチャージプリキュア! WOW!」(仲谷明香)。「スマイル」「ドキドキ」と来て、次はこれかと身構えていたら「ペリーヌ」だった「ハピネスチャージプリキュア」のオープニングテーマ。ペリーヌと連続させたことで、なんか意趣返しのようになってしまったが、そんな意図はない。シリーズオープニングテーマコンプリートCDを聴いていて、前回の「魔法つかいプリキュア」に続いて、これもいいと思ったので唄った。曲中にセリフみたいな部分が入るのも愉しい。
 7曲目、「青いイナズマ」(SMAP)。まさかのSMAP。なんとなくピンと来たような気がしたのでセレクトしたが、しかし気のせいだった。やっぱり男性の曲は苦手だ。喉が痛くなった。
 8曲目、「ジンギスカン」(Berryz工房)。なぜか今日ふたつ目のハロプロ。そしてこのセレクト。今回のカラオケで僕は、モーニング娘。以外のハロプロを唄うと、家族(ファルマン)はとても白けた顔になる、ということを学習した。
 個人として唄ったのは以上だが、目下プリキュアブームの娘たちが次々にプリキュアソングをセレクトしたため、それもかなり一緒に唄うことになった。最新作「スター☆トゥインクルプリキュア!」のエンディングテーマ、「パペピプ☆ロマンチック」がとてもよかった。なにを隠そうハンドルネームのプロペ★パピロウは、女の子がパ行を言うのってちょっとエッチでかわいいよね、という意図で考えたものなので、この曲は本当に僕の趣味にドンピシャリなのだった。しかも☆(白)と★(黒)の違いはあれど、星も共通している。キュアミルキーもかわいいし、今年のプリキュアとの相性は本当にどうかしている。
 カラオケのあとは図書館とスーパーに寄って帰った。
 午後は家でのんびりと過す。ポルガと将棋、ピイガとオセロをする。ポルガとの将棋は、今のところ飛車や角行や金将をくれてやっても勝てるのだが、最近ポルガはたまにタブレットのアプリでコンピュータ相手に将棋をするようになっていて、それで鍛錬しはじめたら、僕は普通に負けるようになるのだろうと思う。僕はそういうコンピュータの将棋では、「やさしい」モードにも勝つことができない。実はそんな棋力なのである。
 晩ごはんは買ってきたカツオのたたきと、鶏雑炊。どうも近ごろ僕やポルガの腹の調子がよくなくて、季節の変わり目ということもあるが、言われてみればこってり系のメニューが続いたのではないかという話になり、今日はとことんお腹にやさしいメニューにしようとなったのだった。ネギ、しめじ、豆腐、鶏むね肉、卵と、とにかく温和なメンツばかりを揃え、しみじみと美味しい雑炊に仕上げる。「ああうまい……」と心の底から湧き上がるように唱えながら食べた。いよいよ健康診断も間近になってきて、ここからはラストスパートでさらに清らかな体を作っていきたいと思う。