少し茫洋とした夏のはじめの休日

 土曜日の夜、義母がわが家に泊まった。三女とともに島根から出てきて、土曜日はそれぞれの友人と会い(世の中には、いま住んでいる土地はもちろん、いま住んでいない土地にも友人がいる人種と、いま住んでいない土地はもちろん、いま住んでいる土地にさえ友人がいない人種が存在する)、日曜日に祖父に会ったり祖母の墓参りをするという計画で、三女はその友人宅に泊まりさえするらしいので、宿泊は義母のみという段取りだった。もういまさら義母が泊まりにきたところで、なにがどうということもないが、わが家では客は居間に寝ることになるため、土曜の夜にテレビをだらだらと観てしまうことが強制的に回避され、寝室に持ち込んだ缶チューハイを飲みながら、粛々とハリーポッターを読んだりした。
 翌朝は、義母が買ってきてくれたパンを食み、三女の登場を待つ。義母らの移動手段は三女の車なのである。しかし神戸市立動物園の例が示すように、三女という人は午前中の行動にとてつもなくルーズな性分なので、なかなか来やしないし連絡もつかない。我々一家は祖父母のそれに付き合うわけではないが、行きがけにお昼ごはんくらい一緒に食べられたらいいね、などと話していて、そんなことをしつつ、祖父のホームに行ったり墓参りをしたりして、その後に島根まで帰ることを思うと、スタートは早いに越したことはないのだ。それなのに音沙汰がないので、一同でやきもきした。そのことにやきもきしながら、吉本がゴタゴタしていてやはりやきもきする「ワイドナショー」を眺めて過した。
 11時くらいになってようやく三女は現れ、慌ただしく出発。義母らの行先の道すがらにあるマクドナルドに寄った。こういうときはファストフードっきゃない。注文では、ファルマン家の人々はいつもそうして、そしていつも持て余す、「全員が全員セットを頼んでポテトが阿呆ほど集結してしまう」状態を、今回ももちろん作り出していた。何年も前からずっと繰り返している。なぜ学習しないのか。僕はダブルチーズバーガーとエッグチーズバーガーを単品で頼む。たんぱく質と脂質が多そうで満足感があった。
 食べ終えてマックの駐車場でお別れ。次に会うのは夏休みに我々が島根に行ったときだ。そんなのもうわりとすぐだ。それから我々一家は街へ出たついでにちょっとショッピングセンターなどに寄って、子どもらの麦わら帽子を買ったりして、帰った。
 帰宅後は、晩ごはんのお好み焼きの下準備を済ませ、ひとりフィットネスへ繰り出す。そしてそれなりに身体を動かした。ハンバーガーふたつ食べて、筋トレして、ちょっとは筋肉ついてくれないかな。「痩せるのはもういいから筋肉つけたい」と少し前に嘆いたが、数字的にはその頃からなにも改善していない。体重は相変わらず50キロを下回っている。もっと食べないといけないのか。でもいまさら夜にカップ麺は精神的な抵抗感が強い。
 お好み焼きはもちろんおいしかった。ちなみに子どもたちは金曜日が終業式で、夏休みに突入している。休日、フィットネスに行ってわりと逃げたりしつつ、思う。こんなものたちと、これから40日超、ずっと一緒に過すだなんて。どえらいことだ。本当にどえらいことだよそれは。