のんびりぼやぼや週末

 GW前の週末を、のんびりと過す。
 土曜日の午前中は、この前日にオープンしたブックオフ出雲高岡店へと繰り出した。さらっと書いたが、信じられない文面だ。「ブックオフ」と「出雲」と「オープン」がまさか一文の中に一緒に登場するだなんて。
 ここ数年、更地になにかの建設工事が始まると、ファルマンと「なにができるんだろうね」「ブックオフじゃない?」と言い合うというのが、われわれ夫婦の定番ジョークになっていた。このジョークの笑いのポイントは言うまでもなく、ブックオフが新たにできるはずがない、というところにある。
 そのため今回のオープン、その第一報を聞いたときは、本当に驚いた。ちなみに出雲高岡店というのは、実は2年前くらいに近所の別の場所にあって、それが閉店し、そして今回ホビーオフとハードオフとで合同で新オープンということなので、本当に純粋な新規開店とは少し違うのだけど、それでもすごいことに違いない。
 行ったらもちろん大盛況だった。駐車場は満車で、順番待ちをしてようやく停められた。オープン記念セールなどはなかったのだが、やっぱり地元民の注目度はかなり高いのだった。
 ブックオフができたと言っても、ホビーオフとハードオフとの合同店舗なわけで、本の領分はそんなに大きくないのだろうと覚悟していたのだが、それはまあ事実としては事実だったけれど、在庫が多ければいいというものでもなく、中古屋というのは新陳代謝がどれだけいいかだと思うので、本だけの店よりも集客が良くて、その恩恵により書籍の巡りもよくなるのであれば別にいいな、と思った。
 ホビーオフやハードオフのほうの売り場も眺め、なるほどなあ、などと感じ入った。紙の本が売れなくなって、かつて勤めていたような新刊書店が苦しむのはもちろんのこと、ブックオフも減る一方だと思っていたが、その一方でメルカリやセカンドストリートなどが、リユースの市場を拡大し、なにより人々の中古品に対する意識を変化させて、このような発展を見せ、それが結果としてブックオフを新しく開店させたのだから、なんだか世の中って不思議だな、と思った。大型動物が死んで、それを分解するための微生物が増殖し、その栄養素で植物が繁茂し、その植物のおかげで昆虫が増えるような、なんかそんなサイクルのようだと思った。目の前に困窮があるとすぐに絶望してしまうけれど、長い目で見れば巡っているのだと。そんな哲学的な思いに更けてしまうほど、今回のブックオフ開店は感慨深かった。もしかすると「火の鳥 太陽編」を買ったことも関係しているかもしれない。
 買い物も行ない、午後は家にずっといた。僕はいつものように裁縫と筋トレ。ただし筋トレはあまり調子が上がらなかった。筋トレをするようになって、肉体には明確にバイオリズムがあることに気付いた。筋トレの調子がよく、体の見た目も仕上がっている時期と、なんとなく体がへにゃついていて、筋トレもガチっと決まった感じがしない時期がある。今は後者。ファルマンは「季節の変わり目だから」と言う。ファルマンは1年のうち、300日くらいを指して季節の変わり目と言っているような気がする。もしかすると七十二候で生きているのかもしれない。
 そんなファルマンだが、この日の朝に寝違えたと言って、首を痛そうにしている。痛そうにしていると言うか、痛い痛いと頻繁に口に出しているので、きちんと周りに伝達されている。痛いそうである。こういう痛みの表明について、これまでうっすらと、なんでこの人はこんなにも同じことをアピールし続けるんだろうと、もちろん口には出さないものの感じていたのだが、先日自分が腰をやった経験を通して、なるほどこの人みたいに痛みを外側に放散するのって大事なんだな、と理解した。しんしんとした痛みを、声も出さずに粛々とやり過ごそうとすると、じっとりと気持ちのトーンが落ちていき、どんどん暗い気分になってゆくのだ。そしてたぶんそれは精神を蝕むのだろうと思う。それを回避するため、痛みを大きい声で主張し、逆に陽な感じにするのは、わりと効果的なことであるに違いない。なるほど、今後の参考にしようと思った。
 晩ごはんは鶏の唐揚げにする。土曜の夜の唐揚げにつき、翌日の弁当に回らないので、思いきりにんにくの効いた粉を使う。おいしかった。
 明けて今日は、昨日の夜から降り始めた雨が、一日中しとしとと、降っているような、降っていないような、そんな天候で、気温も低い日曜日だった。ポルガは部活だし、特に外出の予定もなかったので、午前中に僕だけが食料品の買い物に出たほかは、ずっと家にいた。プールは、ピイガにはせがまれたものの、先週連れていったし、僕自身は平日に十分すぎるほどに行っているので、この週末はパスにした。
 筋トレは相変わらず捗らず、わりと漫然と過してしまった。この分では予定がまるで決まっていないGWのことが思いやられる。本当にどうしようかな。ポルガがだいたい部活というのも、計画を立てづらい要因となっている。
 日中、窓の外からカエルの鳴き声が聴こえてきた。雨で土が濡れ、頃合と見て取ったか。七十二候の「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」は、新暦では5月に入ってからなので、ちょっと気の早い奴らだが、ぼちぼち田んぼには水が張られているので、まあ大丈夫か。カエルの鳴き声は久しぶりで、まだまだ個体数の少なさからかわいいボリュームだったし、そのときだけで今は聴こえないが、ピークになれば今年もすさまじいことになるだろう。
 午後は久しぶりにドラクエ11を少しやり、少し進むが、終わりが見えない。仲間が揃わない。仲間が揃ったって、そうすぐにボスに再挑戦するわけでもあるまい。長いよ。ポルガは僕よりもだいぶ前にすっかり放り投げてしまっている。僕だって危うい。
 晩ごはんは、ごぼうと椎茸と豚肉の卵とじ。なんか実家でよくこんなメニューが出ていた気がする。山梨っぽい味かもしれない。
 そんな感じで週末が終わる。今日は本当にぼやぼやと過した。