8月締め

 金曜日、8月の終わりの終わり、折からの不安定な天候をかいくぐっての曇天の夜に、意地のように今月限りで今シーズンが終了する屋外プールへと、労働後に繰り出した。月のはじめ、妻子が帰省中に初めて行ったときは、開始時刻(入れ替え制なので泳ぎはじめられる時間が決まっている)にはまだ西の空に明るさが残っていたのに、今はもう最初からすっかり暗い。そして水中に入ると、その水温の冷たさにびっくりした。それでも泳いでいれば体が温まるだろうと泳ぎはじめたが、300メートルほど泳いだところで、どうにもしんどく、500メートルになんなんとするあたりで脚も攣りそうになり、ほうほうの体でプールサイドに上がった。それから屋内プールへ移る気概もなく、正味20分ほどで終わらせてしまった。やっぱり営業が終了するだけのことはあって、屋外プールはいよいよ限界なのだった。昼間ならまだしも、朝晩は涼しくなってきた今日この頃であり、もはや晩はプールに堪える気候ではないのだった。そのことをまざまざと体感した。とは言え、気持ちよく泳げなかったそのほろ苦さも、たくさんプールに行った今年の夏の締めとして、味わえてよかったと思う。もっともプールとしばらくお別れするわけではない。今後も屋内プールには普通に行く。
 土曜日の夜は三女が泊まりに来た。夜にやってきて、日曜日の朝に出発する、素泊まりのような利用だった。本人も自分からは口にしないし、我々もあえて訊ねはしないが、陰でこそっと、三女の好きな有名人のスケジュールを確認したら、土曜日は香川で、日曜日は広島でイベントをやっていた。実に明解なのだった。なるほどその日程で、岡山に姉の家があれば、それは便利に使うわな、と思った。それにしたって先週に引き続き、人々はイベントに繰り出す。そのことに僕はいま若干アンニュイになっていて、思うところがあった。
 今日は、今日から9月ながら、日曜日なのでまだ夏休みという、ちょっとレアな日。子どもたちの長く長く長かった夏休みも、今日でいよいよおしまいである。明日からは2学期なのでアクティブなことはせず、図書館やら100均やらスーパーやら、平常の休日を過した。大人の夏休みはお盆の数日で終わっているので、暦が8月だろうが9月だろうがあまり関係ないが、なんとなく子どもたちにつられて、明日から新章に移るような感覚が多少ある。特に区切りをつけてなにをするという構想もないが、とりあえず夏の間は軽く除毛していた陰毛について、もう手入れしないことにしようと思う。