真夏のシンデレラ

 暑さがすごい。今年の暑さと来たら、すごいじゃないか。1週間のうちの日中の大部を過している職場は、日当たりこそ必要以上にいいものの、ありがたいことに冷房は適温で効いているため、暑さによる体力的なダメージは、わりと免れていると思う。それでも夕方には、これまでの時期とは較べ物にならないような疲労感がある。
 思えば7月というのは実は毎年そうで、体調が崩れないようタイトロープをそろそろと渡るような危なっかしさがあり、今年のように思いっきり足を踏み外し、落下するパターンもある。6月末に切れたプールの会員を、7月上旬に更新したのは本当に失敗だった。7月は、混んでいるし、日々の体力が持たないしで、実はろくにプールに行く気にならないのだ。去年、そのことはしっかり学習していたはずなのに、7月もまだ上旬というのは、逆にいちばん、「これから暑くなってプールが気持ちいい夏がやってくるぜ」というテンションになっているせいで、なんの思慮もなく間髪入れずに申し込んでしまった。
 プールに行く気が起らないくらいだから、日々の筋トレの意欲ももちろん減退している。蓋を開けてみれば、プールに足が向かないくらい、むしろ普段の月よりも披露する機会がないのだが、なんとなく筋トレというのは、露出が増える夏に向けて、それ以外の期間せっせと雪の下で筋力を蓄える、という図式ではないかと思う。それだのにこの半月ほどのサボりのせいで、6月下旬あたりだいぶ仕上がっていた僕の体は、ここへ来て少し迫力がなくなったように思う。夏というのは本当に過酷だな。
 あと先日の、一家を襲った体調不良なのだが、あれってもしかするとコロナだったんじゃないかという疑惑が、にわかに高まっている。あのプールと餃子の日のあとから、各人が体調を崩しはじめたわけだが、実は3女も同じタイミングで発熱し、あの週は仕事をだいぶ休んだという。しかしコロナの検査をしたところ陰性だったそうで、僕はそれを聞いて、ああよかったと安心したのだった。というのも、倦怠感や、ごはんの味が少しおかしく感じられるなどの症状があったため、当然(もしや……?)という恐怖を抱いていたのである。しかしタイミング的に同じウイルスにやられたのだろう3女が陰性だったということは、これはコロナではなく、たちの悪い夏風邪なのだな、と解釈することができた。ところがである。この数日後、すなわち次の週末あたりに、今度は実家の義両親がふたり揃ってダウンし、こちらはなんと陽性だったのである(今はもう回復した模様である)。これで話が分からなくなった。感染したにしては少し発症のタイミングがズレ過ぎている気もするのだが、ただの風邪にしては、我々の症状はだいぶヘビーだったような気がしないでもない。今となっては確かめようがないが、しかし僕もファルマンも、40代ってこんなに風邪がしんどいのか……、と今回ことさらに加齢を哀しく思ったのだけど、それがコロナであったとするならば、あのしんどさは加齢が原因ではないということになってくるので、そっちを採用しようと思っている。
 ちなみにコロナで心配される後遺症についてだが、幸いなことにちんこが小さくなった様子は見受けられない。もっとも少々小さくなったところでびくともしないとも言えるし、そもそもスケール感が規格外すぎて大小などという概念を超越しているとも言える。まあとりあえず言えることとしては、安心してください、ということだ。