2024年夏の自家用車横浜帰省 5日目

 昨日はヘトヘトになったが、この日は今回の旅程のスケジュール的に最も楽な日で、というのも、往路の「島根→津:津→横浜」というのが、比率として「5.5:4.5」だとすれば、この日の宿泊場所は愛知県の豊川市であり、「横浜→豊川:豊川→島根」は、「3.5:6.5」という感じだからだ。今日はただ、横浜から愛知の、それもやや西側まで行けばいいだけの日。
 だから出発も悠々で、なにしろ公共交通機関ではないので自由なのだが、15時からのチェックインよりも早く着いてもしょうがないので、まあ11時半くらいに出ようかね、という感じだった。テレビでは台風7号のことが盛んに報じられていて、関東に最接近する明日は新幹線が計画運休する、などと言っていた。世が世なら、である。わが家の場合、この日のうちに愛知県に移動するので、ギリギリで台風の影響は受けずに済みそうだった。それにしたって、南海トラフ地震注意に始まり、台風まで発生して、帰省というのはこんなにもアドベンチャーなものであったろうか、と思った帰省だった。
 祖母と母、いとこふたりに見送られながら、出発する。出発してわりとすぐ、やっぱり綾瀬のあたりで渋滞に捕まる。行きも帰りもということは、常態として渋滞しやすいスポットなのだろう。これがなければ小一時間くらい、所要時間が短くなるのにな。そこを抜けたあとは快調だった。途中、駿河湾沼津サービスエリアで休憩。ちなみにだが、行きも帰りも富士山は見えなかった。天候的に見えなかったのか、新東名を走ったところで決して見えるものではないのかは判らない。
 豊川へは15時半くらいに着いた。愛知県に、通過するだけでなく足を踏み入れたのはこれが初めてだと思う。豊川はバイパス沿いにあらゆるチェーン店が並ぶ、典型的な地方都市という感じだったが、やはり三大都市の近くで人口規模が大きいのか、チェーン店の層の厚みを感じた。ありとあらゆる店が揃っていた。その一方でごみごみしている感じもなく、田んぼなんかも普通にあったりして、ずいぶん暮しやすそうな場所だな、と思った。
 往路の津は伊勢神宮という事情があったからだが、復路のここにはどういう目的があったかと言えば、土地そのものには関係がない。近隣の観光スポットを検索したところ豊川稲荷があったけれど、行くつもりはなかった。じゃあなにかと言えば、それはひとえに宿泊施設だ。その名もコロナワールドという、温浴施設にゲームセンター、映画館、ファミレス、ボーリング場、そして(わが家には関係ないけど)パチスロが1ヶ所に集まった施設に、キャッスルイン豊川というビジネスホテルも併設されていて、宿泊客は風呂もサウナも入り放題ということで、そんなのもう桃源郷じゃん、と思って、あんまり横浜と島根の中間地ではないなとは思いつつ、ここっきゃないと思って予約を入れたのだった。そんなわけで、施設そのものをレジャーとして堪能するため、ほぼチェックイン時刻めがけてやってきたというわけである。
 期待がだいぶ大きかったので、実際どうなるか不安だったのだが、行きのホテルの名前は出さないのに対し、こちらは明確に書いているということが示すように、ものすごくよかった。本当に桃源郷だった。部屋はトリプルルームで広く、エレベータで降りればそこはゲームセンターで、ひとしきり遊んだらサウナ。宿泊客は専用のエレベータで、一般客がお金を払う入り口の奥から入ることができる、というシステムがよかった。なんかもう、どうしてこんなに甘やかしてくれるの、われわれ一家は庇護対象なの、というくらい心地がよかった。さらには岩盤浴コーナーでは漫画が読み放題と来て、子どもたちも大喜びの様子だった。10時のチェックアウトまで目一杯いよう、この夜が40時間くらいあればいいのに、と思った。晩ごはんは施設内のレストランで食べる。ウェルカムドリンク一杯無料のチケットがもらえ、選択肢の中には生ビールもあり、心が千々に乱れたけれど、ホテルでは酒を飲まないという当初の誓いを守り、なんとか耐えた。生ビールの選択肢があるのにウーロン茶! もはや聖人の所業ではなかろうか。ちなみにこの食事の際、大社高校の2試合目がもう終盤で、やはりスマホでスコア速報を更新しながら確認していたのだが、タイブレークの末に勝利ということで、さらに多幸感のある夜となった。寝てしまうのが惜しかったけれど、翌日の運転は長いので、そうも言っていられず、寝た。