2025年夏の自家用車横浜帰省 3日目


 1年にいちどくらい帰省すべきだよなあという気持ちはありつつ、しかし距離が距離なので、必ずしも毎年じゃなくてもいいんじゃないか、という思いも同時にある。それで言うと今年は、去年帰ったし、なによりポルガが受験生で、かつ部活も忙しいので、パスという手もあった。だが「実家への帰省」に関してはそうだったのだが、それ以外の理由により、今年わが家は横浜に行かないわけにはいかなかったのだった。
 それがこの日の予定であり、われわれ4人は午前中から母にあざみ野まで送ってもらい、市営地下鉄でみなとみらいへと繰り出したのだった。2年連続のみなとみらい。もちろんVS PARKにリベンジに行ったわけではない。こちらである。


 2年前「ツタンカーメンの青春」というタイトルで、所沢で開催されていた展覧会が、画像の中のポスターにあるように、ほぼ今年1年、みなとみらいで開催されているのだった。所沢と横浜。なぜか縁のある土地でばかり開催されるこの展覧会、待っていれば次は関西あたりに来そうだなという気もしつつ、帰省との抱き合わせで行ける以上、このチャンスに行くっきゃないっしょ、ということで行った。2年前の所沢の頃から、ポルガを連れていってやりたいとファルマンは言っていたので、ようやく念願が叶ったのだった。
 ポスターの前に立っているのはもちろんポルガで、自前の「TUTANKHAMUN」Tシャツに、ネットで買った古代エジプト絵画リュックを背負い、そして肩に掛けているヒエログリフ柄のトートバッグはこのミュージアムショップで買ったものである。ガチ勢である。ちなみに顔は、ツタンカーメンのクリアファイル(それもミュージアムショップで買っていた)をお面のように着けているのではなく、僕がパソコンの画面上で貼り付けた。
 展示の内容は、ツタンカーメン関連の調度品や墓などのレプリカがメインで、レプリカである分、ガラスケースの中に収められているということもなく、さすがに触ったりはできないのだが、おそらく原寸大なのだろうし、なかなか見応えのあるものだった。開催期間が長いからか、人もそこまで多くなく、ポルガはハイテンションで館内を巡っていた。連れてくることができて本当によかったと思った。ちなみにだが、ミュージアムショップを物色していたところ、なんとなく知っている感じの顔があり、誰だろうと思ったら、「馬鹿よ貴方は」というお笑いコンビの、平井“ファラオ”光だった。ショップ内にテーブルが用意されていて、いちど目が合って会釈をしたあとはあまりジロジロ見なかったが、たしか10分1000円とかでお話ができる、という商売だったと思う。そうか、平井“ファラオ”光だから、ツタンカーメンミュージアムで仕事をもらったのか、と納得したが、いまWikipediaを見たら、そもそもその芸名にしたのは古代エジプトが好きだったからだそうで、こんな形の好きを商売にする方法がこの世にはあったのだな、と感心する思いだ。ちなみに1984年生まれの神奈川県出身だそうで、ちょっと親近感が湧いた。ポルガの古代エジプト好きが続けば、いつかまた邂逅することがあるかもしれない。そのときは1000円くらい出そうと思う。
 そんな感じでツタンカーメンミュージアムを堪能し、しかしそれで終わりではない。徒歩でわずか10分ほど移動し、次は横浜美術館へ。ここでいま行なわれているのが、こちらである。


 これはミュージアムショップで買った、「パ」のフラッグ。本来はもちろん「ピ」(売り切れ)。言わずもがな、ピタゴラスイッチの「ピ」である。そう、ピタゴラスイッチの生みの親、佐藤雅彦の展覧会なのである。ふだん見ている記事の傾向からか、数ヶ月前にスマホがヌルっと「こんなイベントありまっせ」と教えてきて、なにしろピイガを中心に、毎朝「ピタゴラスイッチ」と「0655」を愉しく観ているので、へえ横浜か、ちょうど夏にやってんなら行けたりすんのかね、などと話していたら、ツタンカーメンミュージアムとは徒歩10分ということが判明し、これまた行くっきゃない、ということで2本立てで巡ることとなったのだった。なんともすばらしい横浜の活用っぷり。もはや実家への帰省ではなく、ただの宿舎なのではないか。
 そしてこちらの展覧会はどうだったかと言うと、もちろん、まあ、おもしろかった。なんとなく快活じゃない感じの言い方になったのは、展覧会に来ておいてこんなことを言うのもなんだが、佐藤雅彦というのは、雑多でベタな日常の中に、ポイント的に出てくると「おおっ」となるけど、完全にそれだけだとさすがにしゃらくせえ、という気持ちが若干湧いたのと、やはりピイガは同担拒否が発動して始終ご機嫌斜めだったのだが、僕もその親なので、他の客やスタッフに対して、ウザったさのようなものを抱いてしまったのだった。要するに僕もピイガも、イベントなんかには参加せず、家でディスプレイを眺めていればそれが最上なんだと、そのことに気付けた展覧会であった。でも行けてよかった。
 去年に続いて2年連続のみなとみらいは、都会あるあるで、なんだかんだでよく歩いた。いっそ車で行くという案もあったのだが、駐車で困ることは目に見えていたので止したのだった。ちなみにわが家はこの市営地下鉄が1年ぶりの公共の乗り物で、みなとみらいに行くときにしか公共の乗り物に乗らないという、なかなか純度の高い状態になっている。