最終日は帰るだけかと思いきや、実はそうではない。今年の帰省は、(帰省以外のところで)本当に盛りだくさんなのだ。キャッスルイン豊川にチェックアウトギリギリまで居座らないという贅沢をしてどこを目指したかと言えば、兵庫県は宝塚市である。通り道であり、行きの際も宝塚サービスエリアで休憩したりしたのだが、このたびは高速道路を降りて、とある施設に寄ることにしたのだった。どこか。ここである。
パピロウ、あなたはもう二度と人間に生まれてくることはないのよ。手塚治虫記念館に、火の鳥のTシャツを着てきてしまう、その心安い性格じゃないくせに半端にお調子者の了見が気に障るから、そう決めたわよ……。
というわけで、さくらももこ、ツタンカーメン、佐藤雅彦と大スケールで巡った今回のミュージアム探訪旅行(もはや帰省にあらず)の掉尾を飾るのは、手塚治虫記念館なのであった。岡山時代からずっと行きたいと思っていたが、意外な形での来訪となった。画像にあるように、建物の前には他ならぬ火の鳥の巨大なオブジェがあり、テンションが上がった。「俺が火の鳥から啓示を下されているようなイメージで」と頼み、ファルマンに撮ってもらった。なかなかいい写真になって嬉しい。入館すると、まさにこの日僕が着ていたデザインの火の鳥のイラストが掲示されていて、受付の真ん前でだいぶ恥ずかしかったが、その前でも記念撮影をした。展示そのものは、まあ「ふうん」という感じで、なにぶん手塚治虫のすごさというのは、わざわざ記念館に来なくても有名すぎるほどに有名なので、新しい驚きのようなものは特になかった。また企画展は「創聖のアクエリオン」がテーマで、これも残念ながらわが家のセンサーには引っ掛からなかった。ミュージアムショップには初めて目にするような商品が多数あり、テンションが上がった。カード全てにさまざまなキャラクターがデザインされている火の鳥トランプなんかを買った。ポルガは「ブッダがあんまりない」とボヤいていたが、ブッダはほら、キャラクターって言うか、キャラクターじゃないって言うか、微妙なところだから。そもそも手塚キャラの中でブッダ推しっていうのやめろよ、と思った。あとプリクラもあって、せっかくだからということでもちろん手塚キャラフレームであるそれを、一家でやった。普段なら考えられないことだが、さすがに思春期の長女も参加してくれた。しかし家族の中で誰もプリクラを撮り慣れている人間がいないため、まあまあ散々な出来になった。でもまあ、僕はもう二度と人間に生まれてくることはないので、これも人間としてのいい思い出としよう。
ちなみに順番が逆になるが、ここにたどり着く前、ナビの指示に従って道を走っていたら、窓の外を見ていたファルマンが「あーっ」と言って、見ると右手に太陽の塔があった。初めて実物を目にした。想像よりもだいぶ大きくて驚いた。
それとさらに順序が逆になるのだが(一体どういう構成で日記を書いているのか)、この朝の出発の際、買い出しなどあって豊川の街を走っていたら、ちょっと異様な雰囲気のエリアに入り込んで、そこはかの有名な豊川稲荷なのだった。出雲大社ほどではないが、かなりのメジャー級であろう。今回は素通りしたが、どうせまたキャッスルイン豊川へは、今回のように行きも帰りも両方じゃなくても、泊まることはほぼ確実にあるだろうから、その際は立ち寄ってもいいかもしれないと思った。
そんなわけでだいぶさまざまなスポットを巡った、5泊6日の、帰省にかこつけた夏の大旅行であった。結局もちろん100%僕が運転をして、まあまあ疲れたけれど、今年も実行できて、そして無事に帰ってこられて、本当によかった。