鳥取旅行2021晩秋 ~おすしとおふろ~

 鳥取砂丘こどもの国で遊び終えたあとは、本日の宿泊先に向かう。米子である。無理すれば日帰りできないこともない鳥取砂丘を、あえて1泊2日の旅行にして、宿泊先をどこにするかといえば、もうだいぶ自宅に近い、米子なのだった。グーグルマップで検索すると、自宅から米子までは1時間ちょいである。思っていたより近い。帰ろうと思えばぜんぜん帰れる。でもそういうことじゃない。なぜなら旅行なのだから。
 そもそも白状するならば、僕にとって今回の旅行は、鳥取砂丘はサブ目的であって、メインは宿泊、それも温泉およびサウナなのだった。泊まったのはオーシャンというビジネスホテルで、ビジネスホテルといっても今どきの、家族や仲間で泊まれる部屋もある、そういうホテルである。そしてこの同じ敷地内に日帰り温泉オーシャンという、スパ施設として普通に一般向けに営業している、もちろん同系列の施設があり、宿泊客はそこの入浴チケットがもらえる。すなわち風呂に入って、サウナに入って、ビール飲んで、飯を食べて、寝る。そういうことができる。それがしたいというのが起点となり、今回の旅行計画が始まったのだ。
 ホテルには16時半ごろに到着した。案内された部屋は、ホテルにふたつある特別室のひとつで、ビジネスホテルという感じはまるでなかった。しかも旅行日記の冒頭で後述すると書いたキャンペーン、その名もWeLove山陰キャンペーンにより、宿泊料金は通常の半額となり、ふたりは子ども料金とはいえ、4人で11000円というのは、あまりにも破格なのだった。
 このあとすぐに温泉に行ければよかったのだが、晩ごはんとして用意周到に数日前からweb予約しておいたスシローを受け取りに行ったり、スーパーでビールや朝ごはんを買い込んだり、僕だけそんな用事を済ます。知らない街の、知らないチェーンのスーパーが、旅情を掻き立て、おもしろかった。見たことのないプリンを見つけ、思わず買ったりした。
 部屋に戻ったあと、ようやく温泉へ。日が短いので、17時半くらいでもうすっかり暗くなってしまった。外気浴的に、これはかなり残念だった。さいきんサウナについてこのブログで告白したとおり、僕はサウナに、外で裸になる快感を求めている部分が大いにあるので、あたりが暗くなってしまったらあんまり意味がない。温泉は翌日にも入る権利があるのだが、温泉がオープンするのは10時なので、それを待つつもりはなかった。つまり明るいオーシャンには入り損ねた。せっかく男湯が2階の海風呂で、テラスから目の前の海に向かって裸でデッキチェアに座って休憩できるという、貴重な経験ができる機会だったのに。
 そこだけは残念だったが、まあ温泉もサウナも愉しめた。土曜日の夜なので、まあまあ混んでいた。とはいえ数年前の横浜のスーパー銭湯ほどのことはない。あれはいま思えば、「ギャグマンガ日和」のあの話くらいの人口密度だった気がする。月明りしかなかった(温泉に入る前、家族で赤い月を見た)ものの、目的のデッキチェアは堪能できたし。ちなみにサウナ内のテレビでは、今日開幕の日本シリーズ、ヤクルト対オリックスが放映されていて、それもまた特別な夜の印象を強くさせた。
 約束していた時間に部屋に戻ると、はしゃぐ子どもたちの世話が大変だったことと空腹で、ファルマンの機嫌が悪くなっていたため、すぐに鮨にする。砂丘で遊んで、温泉に入って、家族で鮨を囲み、ビールを飲みながら日本シリーズを眺める。なんだこれ、しあわせかよ、と思う。これ以上があまり浮かばない。
 だらだらと鮨を喰い、子どもたちが寝る時間となり、しかし興奮してあまり寝そうになく、「部屋を暗くして寝かしつけるからお風呂行きなよ」とファルマンがいってくれ、2度目の温泉に入りにいく。駐車場を突っ切り、徒歩1分半。いいなあ。22時前だが、まだまだ人は多い。むしろ夕方よりも多かったかもしれない。日本シリーズはまだ続いていた。9回裏、ここを抑えたらヤクルトの勝ち、というところで、サウナ室の座った位置が、あまりにも熱の高い場所だったため、どうせこのまま決まりだろうと、見届けずにたまらず出る。そして水風呂と外気浴をして、十数分後にふたたびサウナ室に戻ったら、オリックスが逆転サヨナラ勝利していた。そのときサウナ室は盛り上がったろうかな。
 2回目の入浴を堪能し、部屋に戻る。子どもたちは寝ていた。大人だってクタクタだ。鮨の残りを食べきり、眠りに就いた。
 つづく。