家電の文化

 文化の日である。週の真ん中、水曜日の休みである。ハッピーマンデーで移動する祝日と、移動できない祝日の区別がわからない。たぶん検索するとわかるのだと思うが、あえてそうまでして知ろうとも思わない。週の半ばの休みはもちろん嬉しいが、今週はそれのおかげで楽だと油断していたら、リズムが崩れて意外としんどい1週間になったりするので注意が必要だ。
 今日はもともとレジャーの予定も特になかったところへ、炊飯器がどうもよくない、せっかくの地元産の新米なのに十全においしく喰えていない気がする、と買い替えの必要性を感じていた矢先、おとといの晩に電子レンジがウンともスンともいわなくなる、という事態まで発生したため、今日はどうしたって電器屋へ行かなくちゃならない、ということになった。家電って、よくいわれることだが、本当になぜか連鎖してダメになる。本当になんでなんだろう。
 炊飯器は、年式はそこまで古くないが、義父が単身赴任をしていた頃に使っていたのをお下がりでもらい受けたもので、近頃は底面に接する部分が、おこげというわけでもなく、ただ焼け付いて茶色くなるという症状が出ていて、子どもの頃、実家の炊飯器も、そうなったので買い替えたことがあり、それはつまり炊飯器の末期症状なのだと思う。電子レンジは、なんと僕が実家を出たとき、すなわち22歳、16年前に使いはじめたもので、そう考えれば実に長く持った。ここまで長く使えたのだから逆にめでたい、天寿を全うしたな、といいたくなるほどだ。どちらもこれまで隣り合って位置し、ともに台所を盛り上げていたが、寄る年波には勝てず、今シーズン限りで引退ということになった。今後は指導者としての手腕に期待したい。
 さて買い物の顛末だが、はじめからなんとなく予期していた通り、電器屋の商品は軒並み高価格で手が出ず、どちらに関してもそこまでのこだわりがあるわけではなく、ごはんが5合炊け(普段5合は炊かないが)、そしてオーブン機能付きのレンジであればそれでいいので、そういうのって案外こういうお店のほうがいいかもね、という感じで行った、食料品から医薬品、衣類から家具から家電まで売っている大型ディスカウントストアで、まさにこちらのそんな希望に適う商品を見つけ、ふたつとも無事に購入することができた。よかった。ネットで家電を買うの、なんだかんだでわりと面倒なので、お店でいい具合のものを買って帰れるに越したことはない。ふたつ併せて、ほぼちょうど3万円。思っていたよりだいぶ安く済んだ。
 そんな新しい調理家電を用いて、今晩の献立はハンバーグ。やっぱりごはんのおいしさがぜんぜん違う、ような気がした。なにぶんこの半月くらいは、本当にパサついて、つややかな感じに炊き上がっていなかった。だから、おいしさがぜんぜん違う、ともいえるし、このよろしくなかった半月間よりも前の状態に戻れた、ともいえる。壮健な炊飯器の炊き上げるごはんの、そこから先の品質のことは、正直いってよく判らない。