サウナについて思う ~永すぎた春~

 労働の帰りにプールに寄る日々を復活させた。幸いなことに、ここ島根でも、通勤のルート上にプールがあるのだった。ありがたいことである。
 プール通いはもちろん運動不足の解消が主たる理由だが、久しぶりにがっつりひとりで泳ぐということをして、運動以前に、気分転換とか、リフレッシュとか、そういう精神作用も含め、要するに僕は泳ぐのが好きなんだな、ということをしみじみと思った。それが同時に運動不足の解消および筋トレになるのだから、いいことづくめである。
 そんないいことづくめのプールを再発見して、ふと思う。
 サウナってどうなのかと。
 ちょっと前からうっすらと、サウナに対する不信感というか、疑いが生じている。どうも自分は、実はそこまでサウナの快楽を享受していないんじゃないかと思うようになった。先日、サウナに関する書籍を図書館で借りて読んで、それで余計に白けた気持ちなってしまった、というのもあるかもしれない。借りて読んでおいていうのも何だが、そういえば僕は、人の好きなもの、人が愛を語るものが、好きじゃないのだ。もっともサウナに関しては、「俺はひっそり好きだったのにブームでにわかが増えてうんざり」ということでは決してなく、思いっきり、おととしあたりからのブームに乗っかってサウナに傾倒した口なので、それでいて「サウナ好きが多すぎてウザい」もなにもあったもんじゃない。
 しかし、これはブームの時期的にもジャンルの雰囲気的にも、大いに共通するところがあるが、キャンプブームというのもあるだろう。これに関して、夏にTwitterにアップしていたヒットくん漫画の中で、「キャンプはもはやオシャレでもなんでもなく、ゴルフの様相を呈し始めている」ということを主張したが、サウナもまた、だいぶそのムードがある。というか、そもそもサウナは、ゴルフとおっさんとワンセットのものだったはずで、それが昨今、北欧にかこつけて、ちょっとシャレオツなものであるかのような扱われ方をし、そしてブームになったわけだが、自分自身それに乗っかってひとしきりサウナを味わった結果、まあ結局サウナというのは、おっさん趣味のものであり、そんないいもんじゃない、という結論に至った。
 こんなことをいうと、それは本当にサウナの良さに気づけていないだけ、入り方が間違ってる、あるいはいいサウナを知らないのだ、なんてことをいわれそうだが、別にそれに対して反論をする気持ちもない。サウナを偏愛する人のことは、それはそれでいいと思うし、その人たちはサウナで僕よりもはるかに大きな快楽を得るのだろうと思う。僕はそうではなかった。そんな結論がこのたび出た。それじゃあプール通いも始まり、僕はもうサウナには行かないのか、といえば、実はそんなこともない気がする。なぜか。なにを求めて僕はサウナに行くのか。それは。
 つづく。