岡山旅行&横浜帰省記 5

 岡山から新横浜までは新幹線で3時間である。夕方に岡山に着き、なぜそこで新幹線に乗るという選択をしなかったか。乗ってしまえば車内での3時間は寝ていればいいのだし、そのあと新横浜からあざみ野までの地下鉄さえ少し耐えれば、駅までは母が迎えに来てくれる。着いて寝るだけの初日になるが、それは仕方がないだろう。でもそうはしなかった。そうは言ってもその移動は体力的にきついだろうというのもあったし、なにより翌日の予定が関係していた。旅程2日目の今日は、上野の国立科学博物館に行くのだった。実家から上野へのアクセスは悪い。アクセスが悪いというか、普通に遠い。前の晩、深夜帯に実家に着いて、翌日の午前中に上野に向けて出発するのは、かなりハードなスケジュールに違いない。それよりは岡山で(それなりに)ゆっくり休み、翌朝早くの新幹線に乗って、上野目的で東京駅まで新幹線で行く、というのが賢い選択だろう。などと偉そうに言っているが、僕が考えたのではない。これはファルマンの采配である。僕ははじめ岡山で1泊すると聞いたときは「へ? なに言ってんの?」となった。でも実際にやってみて、やはりこれは正解だったと思った。
 というわけで早朝の岡山駅である。新幹線は岡山発の、始発か、あるいはその1本あとくらいの、本当に早いものであり、余裕を持って早めに駅に行ったら、なんと新幹線乗り場の改札がまだ開いていなかった。改札の前には人がじりじりと集い、その中には明らかに、ディズニーランドに卒業遠足的なものに行くのだろう学生などもいた。岡山という場所は、新幹線という乗り物は、なるほどそういうものだったな、という感じを思い出した。この感じは、島根県ではまるで味わわないものである。
 やがて改札が開けられ、入場した。もちろん指定席を取ってあるので、乗り遅れさえしなければ、急ぐ必要はまるでないのだ。かくして無事に、やってきた新幹線に乗り込み、旅行&帰省の後半部に突入した。あるいは上野パートはまだ帰省ではなく旅行の延長と捉えるべきだろうか。別にどっちでもいいことだな。
 新横浜を通過し、品川を通過し、東京に着く。時刻はまだ9時過ぎである。永遠に全貌は把握できないのだろう東京駅を、目的の路線の案内表示だけを頼りに、溢れかえる人波の中、進む。東京から上野は、もちろん近い。すぐに着いた。着いたJR上野駅で、動物園などのエリアに近い出口を探し、改札を出たら、なるほど目の前はそのエリアだった。今年やけに早く咲き始めた桜も影響しているのか、まだ午前中だというのに人は多かった。基本的に自分たちが田舎住まいだというのもあるが、コロナ以降、久々にこのような人出を見たような気がする。かくいう我々も、この場所に来たのは2020年の1月以来であり、そういう輩がこういう所に来られるようになったからこそのこの人出なのだな、と思った。